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「劇場政治」のあとで

2007/09/28

政権懸けた論戦期待

 そもそも政治家になりたくなかったくらいだから、自分から総理大臣になりたい、なんて言い出すのは品のないことだとこの人は思っている。いくら頼んでもテレビにはまず出ない。お世辞を言われても喜ばない。よけいなことはほとんどしゃべらない。それでいてときに皮肉をこめてドキッとするようなことを言う。

 そんな福田康夫氏が第九十一代内閣総理大臣になった。七十一歳だが前任の若き宰相が体調不良もあって政権を投げ出してしまったせいか高齢批判はほとんどない。世論調査をみると支持率は共同57・8%(不支持25・6%)、朝日53%(同27%)、読売57・5%(同27・3%)、毎日57%(同25%)、日経59%(同27%)とほとんど同じである。小泉内閣、安倍内閣の発足時にはもちろん及ばないが、戦後歴代内閣では四番目の高い支持率だ。

 支持理由は「安定感」。小泉、安倍と二代続いた「劇場政治」に世の中が疲れてきたのか、地味さが受けている。もう年には勝てないかな、と思い始めていた中高年には希望の星のような存在だ。一年前、新しい時代が来た、とわいていたのに、まだまだ若いものには任せられないと「経験」の重みを云々(うんぬん)する風潮に変わってきた。

 人の運命はわからないものだ。手帳を見たら先月の二十日の夜である。何年か前から数人で福田氏とワインを傾けながら政治論を交わす会合を続けている。その夜の最大の関心はまぢかに迫った安倍内閣改造人事だった。「副総理・外相といわれたら受けますか」などとあの手この手で攻めたが、話に乗ってこない。その一年前、総裁選に出るかどうかのときも「ぼくが安倍くんと戦うなんてことできますか」とついに腰を上げようとはしなかった。

 その夜の会合から一カ月後、テレビのスタジオで麻生太郎氏とともに福田氏が現れ、二人の総裁候補に質問するというやりにくい役回りで会った。福田氏の表情が一カ月前とはがらりと変わっているので驚いた。「若返りましたね」と本番前に声をかけたら「なーに、(ドーラン)塗っているからでしょ」と笑った。番組終了後、「ずいぶん、突っ込みが甘かったね」と冷やかされたが、そういうことを言う人ではなかったので驚いた。

 だれがどの大臣になるのか、いわゆるサプライズはあるのか、などということばかりが注目される政治はろくな政治ではない。その内閣が何をするのか、ほんとうに良い政策を(ときには国民に苦いものであっても)しようとしているのかを監視しなければならない。「国民のために」とか「改革推進」などという言葉だけにだまされてはならない。だれかの利益になることはほかのだれかの不利益になることも多い。みんながもろてをあげて喜ぶような政策などありえない。

 「背水の陣内閣」と福田首相は命名した。たしかに自民党にとっては「背水の陣」だろう。このままいけば、政権の座から滑り落ちるかもしれないのだから。しかし、それが国民にとっても「背水の陣」だとはかぎらない。衆参両院の“ねじれ”現象も、与党にとってはねじれでも、国民やあるいは国益そのものにとっては逆なのかもしれない。ねじれゆえに明るみに出る政治の裏道のようなものがかなりあるような気がする。

 民主党が若い党首前原誠司氏から小沢一郎氏に代わり、同じように安倍晋三氏から福田康夫氏に代わった。福田氏が初当選したとき、小沢氏は自民党幹事長だった。政治歴には格段の差はあるが、ともにパフォーマンスとは縁遠いいぶし銀のような政治スタイルである。両党首が政権をかけ深く激しい論戦を戦わすことは日本の政治のほんとうの活性化につながるだろう。

 事務所経費に一円から領収書をつけるかどうかという問題も大事な問題には違いないが、この手の政治家の個人的な問題に明け暮れている間に、大きな問題、すなわち八百兆円を超す借金をどうするのか、国際社会での孤立化をどう食い止めるのか、の論議が置き去りにされている。一年以内にはおそらく解散・総選挙が行われるだろう。それだけに「甘い水」ばかり政党は見せたがる。甘ければ甘いほど、この先の痛みが大きくなるのだということをわれわれ有権者は肝に銘じておかなければなるまい。

 どの国でも、どの時代でも、政治はそれ自体で質が向上して行くことなどありえない。世の中のあらゆる欲望を背景にした権力争奪のゲームである政治には、常に厳しい監視の目を注いで行かなければならない。与党と野党が競い合って政権の座を争う。その緊張感が政治の質を向上させる。政権交代になれていないわが国では、不安がる人々も少なくない。金魚鉢の水を入れ替えるようにいつでも水を替えられるようにしておくことが結局はわれわれのためでもあるのだ。

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