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瀬戸内物語 北川フラム

(9)一昨日丸プロジェクト 海底には夢がいっぱい

2011/09/24

日比野克彦さんを迎え、瀬戸内の海底を探査するプロジェクト「一昨日丸」について語り合ったシンポジウム=18日、高松市サンポート、かがわ国際会議場

日比野克彦さんを迎え、瀬戸内の海底を探査するプロジェクト「一昨日丸」について語り合ったシンポジウム=18日、高松市サンポート、かがわ国際会議場

 18日、瀬戸内海底探査船美術館「一昨日(おととい)丸(まる)」設立に向かってのキックオフとなるシンポジウムが開かれました。アーティスト日比野克彦さんの構想で、瀬戸内海で沈没した船に残ったお宝を引き上げ、それを展示する船上の美術館をつくろうという計画です。

 何か夢のような、おとぎ話のような話に聞こえます。それもそのはず。何十万キロも遠くの月や太陽は目に見えるから現実的に感じられますが、数十メートルほどの海底は普段、見ることができないので太陽や月以上に非現実的なのです。

 実際、日比野さんが海底に興味を持ったのはフランスのフランク・ゴディオさんのアレクサンドリア探査に参加したのがきっかけだそうです。6メートルしか海底に沈んでいなかった古代の大都市アレクサンドリアが、2千年間も知られていなかったという信じられない大ニュースで世界中が驚いたものでした。海は生命、人類揺籃(ようらん)の場でありながら、謎に包まれた神話の向こうの世界なのでした。

 日本列島の子袋であり、エネルギーの源である瀬戸内海は、それ故に、多くの船が沈んでいます。はるか南の島々からやってきた祖先以来、任那日本府、白村江の戦いに向かった船たち、天慶の純友の戦乱を起こした村上水軍、源平の戦い、倭冦、信長軍の安宅船と毛利軍についた塩飽水軍との戦い、北前船、あるいは、いろは丸、太平洋戦争と、この美しい内海は、同時に歴史のなかの華々しい舞台であり、多くの人々の喜怒哀楽行き交う現場であり、かつ彼方(かなた)にあるほとんど影絵のような世界になっています。

 瀬戸内国際芸術祭のテーマは「海の復権」ですが、日比野さんは海の中をのぞくことによって、海の魅力や海がもつ別の世界を明らかにしようと考えました。海には異なった時代の、異なった時間が蓄積しています。それを潜って掘り出そうというのです。

 おとぎ話のように感じられるのは、この計画がそこに関わろうとする人たちの夢によって紡がれているような気がするからです。

 一つ目は、海に潜ろう(宝物があるかもしれないぞ)。

 二つ目は、それらの拾いものを調べよう(研究所になっていくだろう)。

 三つ目は、それらを展示して、潜っていくための拠点になる船をつくろう(造船所ができるぞ)。

 というもので、多くの人の興味を引きつけます。理系―文系は関係なし。海を多角的に知り、楽しみ、海と遊ぼうという姿勢なのです。

 今回ご講演いただいた有田町歴史民俗資料館(佐賀県)の野上建紀さんや、京都市埋蔵文化財研究所にお勤めの吉崎伸さんは、それぞれ外国の水中埋蔵物の展示例や瀬戸内海の埋蔵物のありかについて楽しく語っていただき、海との不思議な出会いによって、その世界に入っていったことがよく分かりました。

 また、県観光協会会長の梅原利之さんはJR四国に赴任するまで、四国とほとんど関係はなかったのですが、瀬戸内海を知って海のとりこになり、クルーザーを操ったり、海の祭典を行ったり…と語っていただき、「水中探査は夢があるね」と楽しそうに話してくださいました。

 私たちは、「はやぶさ」が持ち帰ったわずかな岩屑(がんせつ)によって、48億年前の太陽系発生の秘密にたどりつつありますが、同じように「一昨日丸」によって海の秘密の扉を開けていけるかもしれないのです。

 日比野さんは「タネは船」というプロジェクトをいろいろな場所で行っていて、越後妻有の莇平(あざみひら)という集落の廃校でも、朝顔のタネのプロジェクトを展開しています。タネを全国各地へ運び、そこで作る段ボールや本物の船とをつなげ、人のつながりや文化のつながりを見せてくれました。アーティストの夢は素朴で素直なだけに、多くの人を巻き込み、共有の夢となるような気がするのです。

(アートディレクター)

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