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瀬戸内物語 北川フラム

内海横断航路 島は多様性の止まり木

2018/05/10

日本財団支援事業により15〜16世紀前半の宇多津港を復元した「復元図 宇多津」(県立ミュージアム提供)

日本財団支援事業により15〜16世紀前半の宇多津港を復元した「復元図 宇多津」(県立ミュージアム提供)

 今回は内海横断航路について。

 瀬戸内海に限らず、今も昔も、目には見えぬ航路があって、瀬戸内海では山陽側の山並みや景色を目印にして操船していたとの記録が多いそうです。

 停泊地も備讃瀬戸では児島(岡山県)が中心で、陸続きになるまでは狭い海峡を通過していたものが、吉井川や旭川からの土砂の堆積が重なり、島の南側に移っていきます。もちろん、記録は海民が書くわけではなく、知識ある貴族たちのものが多いせいもあり、四国側が登場しないのはさみしい。それでも崇徳上皇や法然の讃岐島流しや、室町期に細川頼之の領地があったせいで、宇多津が大切な港であることで気を吐いています。

 こんなことを書き始めたのも、山陽側と四国側との往来はそれなりにあるけれど、瀬戸内海と近畿、九州間を行き交う機会があまりなく、私自身についていえば、前回の芸術祭で、神戸港乗り込みのにっぽん丸で宇野港に着岸したことと、家島(兵庫県)に行ったことぐらいだったからです。

 陸地を横に見ながらの景色の変化を楽しむ船旅を、ぜひ多くの人にも味わってもらいたい。瀬戸芸の課題の一つでしょう。

 この稿は、山内譲氏の「中世 瀬戸内海の旅人たち」(2004年、吉川弘文館)に導かれて書いていますが、そこでの登場人物は高倉院と足利義満の厳島参詣から始まります。

 瀬戸内巡航を考えるときに厳島が中心になるのは今も変わりません。海外だけではなく、国内のクルーズを旅行会社と打ち合わせると、神戸、厳島、直島の3点を中心とした瀬戸内・瀬戸芸の計画になっていきやすい。

 先にあげた中世の貴族の旅も、川尻(現兵庫県尼崎市今福付近)、福原(現神戸市)出発で厳島まで、実質的にはそれぞれ8日、6日を要しています(義満は往復とも宇多津で泊まっています)。泊まりの条件は今も昔も港の整備によることが多いようです。にっぽん丸の場合、高松港沖合泊という秀逸なアイデアがあって、これはホテル不足問題解決のヒントを与えてくれました。

 瀬戸芸では小豆島が東の端で伊吹島が西の端になります。ここの島を繋(つな)げる航路やチャーター船での島間交流で、瀬戸芸での各島連絡は少しずつ前進していますが、島の活性ということでは、このことがとても大切になります。

 昔は小豆島や男木島、女木島の交流が盛んで姻戚関係も多かったし、視野も広がり価値観も多様でした。先日亡くなられた石牟礼道子さんの小説でも(例えば「椿の海の記」)、島を渡ってくる人たちを「貴種」といって大切にしたことが書かれていました。島は多様性の止まり木だったのです。豊島や本島が中継地になると、来客の移動も楽になるのだがなぁ、といつも思うのです。

 瀬戸内の歴史を知っていくのは私にとって、それらかつての産業、物流、生活が今でも生きたヒントになるからですが、この本では海賊のことが1420(応永27)年に瀬戸内を旅した朝鮮使節宋希※(きけい)や1564(永禄7)年のルイス・フロイスの日記にかなりでていることが紹介されています。

 彼らは海賊にかなり悩まされています。備讃瀬戸の海賊のことはでてこないので、ホッとしますが、それならそれで小豆島の「迷路の街」や、男木島の「迷路の急坂」は何に対しての防備だったのだろうかと知りたくなるし、女木島の鬼の洞窟についても同様です。

 そしてこの海賊よけの対策がアート作品の場所として誠に都合が良いことに気づくのです。生活の必要性から生まれてきたものには集中性があるし工夫があります。アーティストにとって狙い目です。公募にもここを目指したアーティストが多く、次回芸術祭が楽しみです。(アートディレクター)

※(749f)は王ヘンに景

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