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瀬戸内物語 北川フラム

街おこし 香川を言葉で“掘る・彫る”

2018/02/01

公益財団法人えひめ地域政策研究センターが発行する「舞たうん」

公益財団法人えひめ地域政策研究センターが発行する「舞たうん」

 「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」という正岡子規が奈良で詠んだ有名な句がありますが、これは松山の「海南新聞」で柳原極堂が取り上げた夏目漱石の「鐘つけば銀杏ちるなり建長寺」の影響を受けたものだ、と子規記念博物館長の竹田美喜さんの文章で知りました。

 正月が松尾芭蕉で始まったので子規もいいな、と思ったのですが、俳句門外漢の私が、俳句に親しむのには理由があって、私が関わっている芸術祭が吟行の場になっていることを知ったからであります。(ただし、いまだ稀少)

 このエッセーを私はえひめ地域政策研究センター発行の季刊「舞たうん」で読んだのですが、今回は「特集/言葉がつなぐまちづくり」で、松江からは「文化資源として活かす『小泉八雲』」(小泉凡)で、「松江ゴーストツアー」やギタリスト山本恭司と俳優の佐野史郎による朗読と音楽の会が11回も続いていることなどが報告されています。

 怪談の中には「一面の真理」があるというハーンの考え、そのオープンマインドな精神をベースにした活動はレベルも高く好感が持てました。

 松山からは「ことばのちからで街おこし」(藤田晴彦)で、この事業は松山市全体をキャンバスに見立て、ことば大募集により30の作品が空港や商店街などに展示され、さらにこの作品は申し込みさえすれば誰でも使用できるというもの。

 「いろんな子 いっぱいおって かまん! かまん!」

 「あなたにとって他人でも、みんなだれかのだいじな人です。」

 などが紹介されていました。

 このほか「遠野『語り部』千人プロジェクト」や、ある偶然から始まった北海道の剣淵町の「『絵本の里をつくろう!』からの30年」など、各地の必死さと言葉を大切にすることから生まれる質の良い積み重ねが勉強になりました。

 私が香川に来るようになって驚いたのは、普通では読めない地名の多さだということは以前、高松大の佃昌道学長が行司を務める相撲の番付表に似た「讃岐難読地名」を紹介した際に書かせていただきましたが、まこと言葉は言霊であるし、地域の生活の成立を教えてくれます。

 先ほどの特集のなかでも、流行語や一般的な人気に偏りがちになる心配もありましたが、わが香川も、土地を言葉によって“掘る・彫る”とよいと思うことでした。

 さて、この「舞たうん」ですが、愛媛県下の小さな集落の活動にも目配りしているし、四国、瀬戸内海、全国の地域づくりを鳥瞰(ちょうかん)しようとするところがあり、必ず手に取っている雑誌の一つです。

 参考までに、この間見たものでは「にちぎん52号」(日本銀行)では、以前私が豊島の島キッチンで取材を受けた日本文学研究者のロバート・キャンベルさんへの言語遺産の継承についてのインタビューが載っていて、氏が館長になった国文学研究資料館の古典籍の調査収集の意味のほか、「世界の紛争は共感の不足から発生している」という議論がある一方で、アメリカの研究者が最近、共感の危うさについて優れた考察を発表しています。

 身近な者への共感が、身近ではない者との戦争を生み出すことがあるというのです。「ポピュリズムの台頭やフェイクニュースの増加も、一つの主義主張への共感で固まったコミュニティが起こしていると言えるかもしれません」と述べ、インターネットのフィルターバブル(インターネットで、利用者が好ましいと思う情報ばかりが、利用者が分からない形で選択的に提示されてしまう現象)の影響もあると指摘しています。

 こういう雑誌にも志ある編集者がいるのだなぁ。私は「日経ビジネス」も「週間金曜日」も「魂うつれ」などジャンル・立場が違う数十種の雑誌を見ていますが、まさに現代の日本社会は断層のなかにあるようです。

(アートディレクター)

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