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瀬戸内物語 北川フラム

(77)大島青松園の存在 私たちを映し続ける鏡

2017/06/24

山陽新聞社がハンセン病問題を取材した連載をまとめた「語り継ぐハンセン病 ―瀬戸内3園から」

山陽新聞社がハンセン病問題を取材した連載をまとめた「語り継ぐハンセン病 ―瀬戸内3園から」

 今月3日「語り継ぐハンセン病 ―瀬戸内3園から」が出版されました。山陽新聞社が2015年1月から16年3月までの新聞連載をまとめたものです。「今さらなぜ、ハンセン病だろう−」と、その「はじめに」で取材班を代表して阿部光希記者は述べています。

 「ハンセン病問題が最も注目されたのは二〇〇〇年代初めだ。全国の療養所入所者らが起こした国家賠償請求訴訟で熊本地裁が国の隔離政策を憲法違反と断じ、時の小泉純一郎首相が謝罪して控訴を断念した。この問題は連日報道され、関連書籍も多数出版された。『語り尽くされ、終わった問題』と捉えられている向きさえある。だが、ハンセン病問題は終わっていない。むしろ今、大きな曲がり角を迎えている」

 岡山県瀬戸内市の長島と本土を結ぶ邑久長島大橋の架橋25年に合わせた取材をするなかで、「多くの証言が聞けなくなっていることに驚いたが、それも無理はない。入所者の平均年齢はその時既に八十歳を超えていた」そうです。そこで「語り継ぐハンセン病」の取材が始まったのです。

 この本では、山陽新聞の取材エリアにある瀬戸内市の長島愛生園と邑久光明園、高松市の大島青松園を取り上げていますが、それはまさに地域の新聞の仕事です。

 同じく「はじめに」から。「歴史を動かしたキーマンたちがこの世を去り、遅きに失した感はある。ただ、『今だから話す』という人もいた。高齢になった皆さんの中には、差別を恐れながらも『忘れ去られたくない』との思いも強くあった」そうです。

 私たちの瀬戸内国際芸術祭も、まさにこの一点を原点として大島に関わろうとしてきました。この本では第7部の「未来へつなぐ」の章に大島青松園と瀬戸芸の関わり方が取り上げられています。

 指の切断にもめげず作った大工さんの自慢のたんす。「父親にもらったハーモニカで寂しさを紛らわせた」人。何気なくあるモノの一つ一つが隔離の歴史を語っていて、「自分が何かを作るのではなく、入所者の物語に光を当てることで作品になる」と最初に青松園に入ったアーティスト高橋伸行さんの感想もあります。

 以来、田島征三さんの「青空水族館」ができ、おおたか静流さんやロバの音楽座の演奏が行われ、昨年は山川冬樹さんがモンゴル抑留の経験も含めて過酷な一生を送った入所者で歌人の政石蒙さんの軌跡を巡った作品を発表しました。これは入所者の鳥栖喬さんの写真に焦点を当てた高橋伸行さんの仕事に連なるものでした。

 この本では高松市の大島についての取り組みについても丁寧に触れています。それらは高齢化していく入所者にとっての将来への取り組みを含めたものとして扱われています。

 もちろん、この本のほとんどの部分は元ハンセン病患者さんたちの苦悶と苦闘の語りです。そしてそれは私たちの社会、私たちの政治の絶望的とも思える差別と排他な仲間意識によるものですが、それは私たちに返ってくるものです。私にとって大島青松園の歴史と、そこで生きてきた入所者の存在は私たちを映し続ける鏡です。

 瀬戸芸は常に希望を語ってきました。美術のひとりひとりの固有性、多様性について語ってきました。それらは大島の存在があるがゆえの緊張感によってのものでした。瀬戸芸は彼らの希望に添いたいと思っています。高松市はそのために動いています。多くの人にこの本を読んでいただきたい。大島は瀬戸芸にとって貴重な存在であり続けると思います。

(アートディレクター)

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