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瀬戸内物語 北川フラム

(7)動き出した島と島の交流 おおらかな心の窓が開く

2011/07/30

中山の千枚田の中を火手を持って歩く女木島・男木島の人々とこえび隊

中山の千枚田の中を火手を持って歩く女木島・男木島の人々とこえび隊

 台風一過、瀬戸の海は穏やかで、朝の直島から高松への船旅は、うっすらとした蒸気に光が差し、船の道行につれ島容は形を変えながら揺れる島影となります。

 この時期、海にはベラ釣りの船が点在し、男木・直島間の潮流が速いところでは深くにいるキスを揚げるべく、船が数十艘(そう)も並んでいます。庵治・大島のあたりでは、釣糸の上の鉤(かぎ)にはアジ、底の針にはキスがかかるといいます。海は人類揺籃(ようらん)の豊かさと鷹揚(おうよう)さをもって広がっているのです。思えば、1年前の芸術祭のオープニングで、6漁協・30艘を超える船団が大漁旗をはためかせ、開会を祝ってくれたのでした。

 この日の夜、海ホタルを見に塩飽諸島の粟島に行きました。こえびたちは朝から島に渡って砂浜のゴミ拾いやのぼり旗を立てるなど、島の人たちの手伝いをしていたとのこと。私はといえば優雅なお客で、滞在制作しているアーティストの作品を見学し(これがよかった。特に島と海と生活を扱った映像など)、夜の浜辺に行きました。

 粟島は周囲16・5キロ、人口300人の島で、廃校を滞在施設にしたり、イベントを組んだりと元気がいいのです。三豊市の担当者が一生懸命なのでしょう。帰り、最後の客となった私たちに20人ほどの島の人たちが手を振って見送ってくれました。彼らの喜びと期待が分かってうれしく、ほかに浦島太郎伝説も残っていて、島の資産を生かせそうな気がしました。

 こえび事務局は意欲的で、西讃の島について今回のような関わり方を模索したり、昨年の芸術祭の舞台となった島同士の交流のお膳立てもし始めました。7月9日に小豆島・中山地区で行われた伝統的な害虫駆除と豊作を願う「虫送り」に、女木・男木の人たちも参加したのです。特別仕立ての船は女木・男木を経由し、土庄港に到着。そこから肥土山に寄って中山のこまめ食堂で舌鼓を打ち会場へ。約250人ほどの参加者が火手(ほて)を持ち、夏の宵に美しい千枚田を「と〜も〜せ、ともせ」という掛け声とともに、春日神社まで歩きました。

 とても楽しく気持ちのよいものだったと思います。帰りの船は実に和やかなもので、別れの寂しさと楽しさがそれぞれの胸に残って、それぞれの島では船が出ても、見えなくなるまで手を振ったそうです。島間の交流が始まれば、人口減で狭くなっていきがちな島の人たちの気持ちに、楽しくおおらかな窓が開いていくような期待さえ抱かせる一日でした。

 芸術祭後の島の人たちの意見を聞こう、という試みも始まりました。7月23日の豊島中学校では私、北川フラムの特別授業があり、豊島の小学生5人、中学生20人とその保護者、そのほか島の方々が多数参加してくださり、人が教室からあふれるほどでした。

 15万年前、アフリカで生まれたイブから世界中に散った子孫の私たち、岩につけられた手形や砂に残された足跡が美術の始まり、一人一人がみな違う存在で今ここに同時に生きていること、美術だけは人と違って褒められるジャンルなのだと説明しました。それから一転、サウンド・オブ・ミュージッックの「ドレミの歌」をみんなで歌い、司会のこえび隊の内海洋子さんの明るいキャラクターはその場を和ませました。

 それから、全員で画用紙に私の好きなものを描いたのです。70歳を超えた方も50年ぶりだと言って興奮気味。さすが直島福武美術館財団の金代健次郎事務局長の「豊島の棚田風景」は年季が入っています。

 しかし留意すべきは、うまい下手ではなく、「自分にとって、それしかない大切なものを考え、思い出す」ことなのです。描くことは記憶のひだをたどること。今回、多くの人が自分の住む豊島を大切に思っていることがよく分かり、猫や犬や自転車がそれぞれにとって、具体的な名を持った特別な存在だったことが知れたのでした。

(アートディレクター)

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