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瀬戸内物語 北川フラム

(66)ゆっくり歩いて夏会期 交流で開かれた地域へ

2016/07/30

APAMSの高松港・大型テント広場公演のフィナーレ。お客さんと出演者が一体となって盛り上がった

APAMSの高松港・大型テント広場公演のフィナーレ。お客さんと出演者が一体となって盛り上がった

 瀬戸内国際芸術祭夏版が始まって約10日。作品もクリスチャン・ボルタンスキーさん(仏)、ケグ・デ・スーザさん(オーストラリア)、ナウィン・ラワンチャイクンさん(タイ)、リン・シュンロンさん(台湾)、イム・ミヌクさん(韓国)、ジョン・クルメリングさん(オランダ)らの力作が発表され、評判は上々。これに加えて、パフォーマンス系も粒ぞろいで客席からの熱気が伝わってきます。

 お客さんの半数近くが外来の人に見えるほど、外国からの観客が多く、台湾便、上海便、香港便の便利さがありがたい。驚くのはそれら外国からの若いサポーターの多さで、制作からオープン後の運営まで彼らが頑張ってくれています。香港のトウ・シモン君は1カ月以上、初めて来る海外サポーターの手助けや説明を丁寧にしてくれます。彼らもまた芸術・文化による地域づくりが自分たちのふるさとで立ち上がることを信じて手伝いに来ているのでした。

 瀬戸内国際芸術祭は、四方を海に囲まれた極東の列島である日本に住んだ人たちが、豊かな水、それによる多様な土壌を生かして生きてきた生活文化が、近代化・グローバル化のなかで失われていき、先祖代々の生き方に自信を失っていくなか、アーティストたちの地域資源の発見力によって、今ふたたび、固有の地域の生活文化に自信を持っていくことを期待して始められたものです。そしてさらに、ともすれば閉鎖的になりがちな意識を、アーティストとの協働・運営など外部の人との直接の会話を通じて開かれることを見込んだものでした。

 そしてこの列島にやってきた好奇心と冒険心にあふれた祖先たちの困難な旅路を思い、近い親類でもあるアジアの人々の生活文化を知り、共通の基盤を確認し、かつ違いのよって来たるところを知ることが、この列島の人々が、より探究的であり、より素直になり、よりやさしくなれると考えるのです。その意味で12の国と地域の「APAMS」アジア・パフォーミング・アーツのグループがやってきたことは、画期的でした。

 高松港でも、福田港でも、50人を超える彼らが移動するさまは感動的でした。生まれも育ちも、特技も違う彼らは、まさに青木繁の「海の幸」。数十組が行進しているかのようで、「海で暮らしたわれらの祖先は!」と言いたくなるほどでした。また、その芸がすごい。まさにナチュラルな美しい肉体というしかないベトナミアン・サーカス・フェデレーションの空中芸の美しさ。地面を見て歩くしかない腰の曲がったダンサーたちのごみ拾いから、遊び、乱舞にいたる喜びを表現する香港のオン・ヨン・ロック。しっとりとした世にも類まれなるインドネシアのペニ・カンドラ・リニさんの美しい歌声と同時に発する動物の歯噛みの驚き。親兄弟を殺されたカンボジアの青年・少女が身体の末端にまで意志を通わせようとした末に出てきた身体表現の美しさがわかるファー・ポンルー・セルパク。それらは、何も知らずに見に来た観衆の気持ちを少しずつ溶かし、やがて場内は共感と交歓の場になっていくさまを私は2日間にわたって体感する喜びを味わったのでした。(今日7月30日の午後5時から大型テント広場で別のバージョンの公演があるのでぜひ見てください)

 アジアといえば、タイ各地の職人さんたちが来て、傘や絹織物、お面や船模型をつくっている瀬戸内アジア村も華やかです。それをじっと見ていると、50年以上も昔、田舎で見た祭りや、夕暮れの路上を思い出さずにはいられません。それは海から湧き上がり、各地でつむがれた人々の生活の初源につながっていく心強さでもありました。夏会期、ぜひゆっくり、海を渡り、島を歩いてください。

(アートディレクター)

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