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瀬戸内物語 北川フラム

(6)石巻のボランティア 震災を生きていく糧に

2011/06/25

宮城県石巻市で行ったこえび隊たちのボランティア作業の様子。帰り際、地元のお母さんたちが歌で感謝の気持ちを表現してくれた

宮城県石巻市で行ったこえび隊たちのボランティア作業の様子。帰り際、地元のお母さんたちが歌で感謝の気持ちを表現してくれた

 宮城県石巻市で震災ボランティアをやってきた、こえびの話は愉快でした。瀬戸内国際芸術祭の時のこえびの活動と似ていたと言うのです。

 あいさつをする。掃除をする。1泊2日の活動の後、見送りに来た地区のお母さんが「何も返せないので」と言って、「うさぎ追いし かの山 こぶな釣りし かの川〜」と歌ってくれたのです。彼らはまた行きたいと言います。行かなければ、片付けが終わらないと言うのです。

 5月20日朝、瀬戸内国際芸術祭実行委員会が仕立てたバスにこえび隊が乗り込んで出発しました。浜田知事の激励のあいさつがあり、途中、大阪や東京でこえびが乗車。現地で新潟の「大地の芸術祭」グループが合流し、作業が始まりました。

 震災後の3月27日、実行委員会の総括会議が開かれ、芸術祭が成功裏に終わったことを確認した後、東日本大震災が話題となり、「可能な範囲で頑張って手伝おう」との決議がなされました。その後、香川県、高松市、小豆島町では職員の派遣、義援金、物資の送り出しのほか、震災に遭った方々の受け入れのための住宅と仕事の提供など、画期的な方策が次々と提示されています。香川県の動きは活発で、こえび隊も援助のための用意を整えたのです。

 しかし、これは「ただの援助」で終わるものではありません。私たち個々が今後生きていくための糧なのです。

 「想定を超えた」と政治家や科学者は言います。どこに、いつ、どの規模の地震、津波があるのか、それは分かりません。しかし、この規模の地震、津波が必ず、いつか、どこかで起こる可能性はあったのであり、その場合、原発は壊れ、溶融することは分かっていたのです。これを蓋然(がいぜん)性と言います。科学が進歩すればするほど、知ることも増えますが知らないことももっと増えていきます。これも衆知のこと。政治家も科学者も、メメント・モリ(死を記憶する)を畏れ、不断にそのための準備に万全を図らねばいけないのです。

 さらに人間はストロンチウム90、セシウム137などという自然界にない元素を生み出したのであり、それがどのような分裂、変化、増殖、変異するか、分からないことを肝に命ずるべきです。超微小のものから、今も膨張する宇宙が生み出されたという想像力を超えた不思議さを思わねばなりません。

 それは東北、あるいは福島原発にとどまるのではなく、地域の、人類の来し方に深く関わる、史上例を見ない出来事でした。それを私たちはその同時刻に、少なくとも目にし、立ち会っていたのです。第2次世界大戦、広島、長崎の被爆、水俣、それらを同時代のものとして対面し、考え抜いた人たちだけが、それぞれの今を生きられたのでしたし、個々にそれぞれの悲惨さを考え抜いた人たちだけが、地域の明日を構想できたことを思い起こしたいのです。

 芸術祭の決議も、県、市、町の準備も、こえび隊の東北行きも、そのようなものとしてあったはずです。島の過疎化も、豊島の産廃も、亜硫酸ガスによる島の禿山(はげやま)化も、大島のハンセン病療養所も、そのように、私たち個々につながっているがゆえに、多くのサポーターが参集したのではなかったでしょうか。

 瀬戸内国際芸術祭の国際シンポジウムで「ゆっくり歩けば、よく見える」と語られました。村ごと避難した福島県飯舘村はこの10年間、「までいの力」といって自立し、おもてなしの心を持ち、助け合ってきた地域でした。皆を助けるために最後まで残って半鐘を鳴らした人や、避難の緊急放送をし続けて亡くなった崇高な人々の話も聞いています。家族を失った漁師が「それでも海は私たちを生かしてくれる」と語っています。それらの話を含め、私たちは東北の震災につながり、それを糧としたいと思うのです。

(アートディレクター)

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