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瀬戸内物語 北川フラム

(57)船上トークイベント 芸術祭の深さ広さ披露

2015/10/31

椎名誠さんを迎えて開いた「船上トーク」(撮影:石井涼子)

椎名誠さんを迎えて開いた「船上トーク」(撮影:石井涼子)

 来年3月にいよいよ始まる第3回目の瀬戸内国際芸術祭の実行委員会総会と東京での企画発表会などがあり、瀬戸内に居ることが多くなりました。12の島と高松港・宇野港とアートサイトはあまりに多く、私はそれらの中の集落になかなか顔を出せません。

 その島や集落にそれぞれ異なった時間の流れがあり、生活の仕組みがあり、人々の経緯があって、それらの神髄を一つの芸術祭の中で顕彰するのはなかなか困難なのですが、ままよ! とやっていくしかありません。一つ一つの共同体を単位にして考えることが瀬戸内の地域作りの特色なのです。原点は人々の生活ですし、集落のまとまりです。でも芸術祭の看板である美術一つをとってみても島で美術的なるものをやっている人にとっては、100個のブイに人の顔を描くことと、現代美術の第一線作家の修練の末にある表現とのあいだにどんな差異があるか疑問なわけです。

 しかし、それはまた個展で勉強の成果を発表するような意識で作品を作っているアーティストの仕事を上手とは思いながら、そこには深い体験がないことを本能的に知っているからです。そんな断絶がありながらも、そこを深く耕し、他所から来るお客さんに格別な体験をしてもらい続けるしか、この魅力ある芸術祭を展開し続ける方法はないのです。世界でも最も面白い美術体験の場なのですから。さらに美術から広がるさまざまな展開が瀬戸内の特徴です。ここでは、先週土曜日に四国フェリーで開催された宇野港「連絡船の町」プロジェクトのイベント「船上トーク」でどんなことが体験されたか書いてみましょう。

 ゲストは遊びの天才、なんでもやってやろう型の椎名誠さんでした。若いときは仲間と「本の雑誌」を作り販売し、そのドキュメントは多くの若い人を元気づけました。その椎名さんは旅の名人でもあり、その経験を話してもらおうという企画でした。椎名さんは等身大の、手作りの、仲間と楽しく動く中からものを考えようとしてきた人です。それを学ぼうという参加者の意欲が船内いっぱいに流れていきました。

 これは宇高連絡船という、土地と土地をつなげた連絡船から人生や、旅を見つめなおそうとする企画なので、やることはたくさんあるのです。例えば、有志で定期的に集まっている連絡船勉強会メンバーは日本や世界の連絡船について調査し壁新聞にまとめたり、こえび隊は昔の連絡船では船に乗るとみんな一斉にうどんを食べるために並んだという思い出を生かし、本当にうまいうどんを食べてもらおうと、朝から名人にうどんを打ってもらい、ゆでておいしいぶっかけを用意しました。これも瀬戸芸精神の発露であり、こえび隊の心意気でした。

 その日の午前中、小豆島の福田では福岡でアジア美術展の準備をし、今は横浜の黄金町というかつては歓楽街だった地域を美術によって再生しようと頑張っている山野真悟さんをお呼びして、アジアのつながりについて話してもらいました。福田は800人ほどの自治連合会がみんなでアジアそれぞれの地域と美術と食でつながり、それを地域作りとしてやっていこうとしている場所です。そこでも食は大切なものだし、実際に福田アジア食堂のごはんは、おいしい。

 私がここで挙げた10月24日の午前と午後のイベントだけをとっても、芸術祭の深さ広さ、そして人々の生活を基本にした活動と、その手作りの一端がわかろうというものです。いよいよ来年3月、これらの活動の終体としての瀬戸内国際芸術祭2016が始まります。

(アートディレクター)

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