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瀬戸内物語 北川フラム

(55)現代パフォーマンス考 地元の芸を国際的な芸に

2015/08/29

巨大人形劇を演じるオーストラリアの「スナッフパペッツ」=丸亀市本島

巨大人形劇を演じるオーストラリアの「スナッフパペッツ」=丸亀市本島

 「ART SETOUCHI夏」の催事として本島(丸亀市)で行われたオーストラリアからの巨大人形劇「スナッフパペッツ」の公演見学に来讃したのですが、残念ながら台風15号の影響で延期となったので、私はそれを見ずにフェリーで宇野へ渡り、陸路で越後妻有の大地の芸術祭に戻りました。それでも彼らは先日、丸亀の婆娑羅まつりに出演し、人気を博したとのこと。また、9日間にわたる本島での滞在や練習を経て本番を開催することができたので、この原稿は、いわば「現代パフォーマンス考」というお話をすることにします。

 前回の瀬戸内国際芸術祭では演劇が人気でしたし、第3回の公募にはアート作品、食事の企画とともに、たくさんの演劇やダンス系の応募がありました。今年の大地の芸術祭でもパフォーマンス(身体表現)系が大活躍です。彼らはいわば総合系の芸術祭が大好きなのです。そして、テレビ・映画を含めて、身体存在をかけて仕事をしているタレント(なんて呼ぶのかよくわからないですが)の人も人気があります。

 ここで総合系というのは、まず狭い美術の展覧会ではない、地域づくりを目標にしているために、地域の土地、気象、生活、文化が絡み合った空間が立ち上がっているなかに、「観客が動く」という能動性があるため、身体が武器であり媒体の中心であるこれらジャンルと相性がいいことがあるでしょう。これと対照的なのが映像系で、動く人が停止し、座って見るというのはどうも観客側の動きにシンクロしにくいという傾向があります。

 2番目に、これらの芸術祭では舞台は建物の中だけで行われるのではなく、屋外にその場を設定することが多くなります。室内で演じることはどうしても近代的になります。言うまでもなく20世紀の建築は均質的な空間、それが高松であれ、東京であれ、ニューヨークであれ、土地の歴史的背景、環境から切り離し、その内部で行われることは、世界中どこで行われても同じように成立することが目標だったからです。機会均等、民主主義的な理念と同じです。美術における高い白い壁というホワイトキューブでも、劇場のプロセニアム・アーチ、それよりも平土間の空間が多くなっている傾向があるのです。

 3番目は、芸術祭をやっていて感じるのは、多くの人たちが、美術作品の場合でも、演劇やダンス公演でも、そこに参加したがっていることです。それらが見る、聴く対象としての芸術作品であることより、参加する側も加わった時空間を立ち上げたいと願っているように思えるのです。

 スナッフパペッツが世界のさまざまな場所で人気があるのは、今、述べてきたことを踏まえていることと、人形作成や滞在の過程で地元の人を巻き込めるし、重要なのはそれが奇想天外な仕掛けであったり、工夫された技術がその根底にあるからだと納得させられるのです。そしてまた、それらが、そこに参加できない観衆にとっても見ていて楽しいものだということです。

 近来の催事では、やっている人だけが一人よがりで楽しんでいるだけなのが多く、一人で酔っぱらって周りが白けるようなことが増えてきているので心配です。

 わが讃岐では農村歌舞伎があり、獅子舞があります。それらは深く集落や地域に根ざしています。そしてもう一歩、それらが今以上に国際的な芸になっていくことが期待されるのです。次回の芸術祭は、これらの地元の芸と日本の国際的な芸が交響し交歓しあうものになればと思い、今まで以上にパフォーマンスを充実していきたいと考えています。

(アートディレクター)

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