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瀬戸内物語 北川フラム

(42)場所が生み出す力 瀬戸芸の喜びと充実感

2014/07/31

「SHIMA KITCHEN ―瀬戸内国際芸術祭2010島キッチン105日間の記録―」より

「SHIMA KITCHEN ―瀬戸内国際芸術祭2010島キッチン105日間の記録―」より

「新四国風土記」味覚の四国路(山田竹系)より

「新四国風土記」味覚の四国路(山田竹系)より

 第2回の瀬戸内国際芸術祭の記録集が発行、発売され、たちまち重版という人気だそうです。これを機会に、芸術祭のなかで生まれた数多くの小さな本について記しておきます。私が手にしたのはほんの一部で、おそらくプロジェクトの数だけ作られていて、それは将来、貴重な資料になると思われます。

 第1回の芸術祭で、こえび隊に登録をして島キッチンを切り盛りしてくれた川村美穂さんは、会期が終わり、もともと働いていた会社に復帰するにあたり「SHIMA KITCHEN ―瀬戸内国際芸術祭2010島キッチン105日間の記録―」という小冊子を自費で作りました。本人が撮った写真とわずかなコメントだけなのですが、ここに関わった人たちの楽しさ、喜びが伝わってきます。

  出だしは「瀬戸内海に浮かぶ、人口約1000人の島。豊かな島と書いて“豊島(てしま)”。唐櫃(からと)集落の中央に位置し、昔から地元の人々から大切にされ、日常生活に使われてきた湧水所『清水神社』。島キッチンはここから歩いて約3分のところにあります」と始まり、最後のページには「シェフの笑顔の写真。早速飾ってくれているのは、恵実さん。キッチンから一番見えるところに張ったので、いつも島キッチンを見守ってくれることでしょう」であっさり終わっているのですが、瀬戸芸に精いっぱい加わり、奮闘し、悩み、しかし楽しんだ様子がよくわかって秀逸なものです。

 高見島の京都精華大学「高見島の記録2013秋」では、「京都精華大学の教員や学生、卒業生たちが、香川県多度津町高見島に残された時間の痕跡を借景として、空き家や荒れ地、廃校、廃村を舞台に作品を展開する、京都精華大学高見島プロジェクト。…」と始まり、丁寧なカタログでありながら「板持廃村プロジェクト」では、「いま、ここで必要なのは、『中央』の価値観を持ち込むことなく、『地方』の現場に立脚することである。ただし、それは新しい美術表現のためではない。自明視されてきた美術なるものを根底から疑うためである」と記され、批評性さえもっていました。

 「三つの白」と題された本は、神戸芸術工科大学の沙弥島アートプロジェクトによるもので、そこには「芸術祭に参加して最も印象に残る経験といえば、帰するところ、さまざまな『人との関わり』である」とありました。

 これらを通観して、共通することは、淡々と書かれた事実の底に横たわっている参加者一人ひとりの喜びと充実感でした。そして面白いことにほとんどの本が、関わった島、あるいは場所に関する概要を巻頭に掲げていること。場所が作品を生み、人を生かしているのです。

 交通機関が発達し、空間の移動が格段に楽になった現在、旅は失われていったと言ってよいかもしれません。空間の旅が時間の旅であった時には「月日は百代の過客にして、行きかう年もまた旅人なり」と言えました。今はただ一点に深く重りを垂らすことによって、それが地球の裏側に出ることを願うしかなくなっているように思われるのです。

 風土記は過去のものになってしまいました。そういえば、1968年に宮脇書店から発行された「新四国風土記」には、市原輝士、西村望、加藤増夫、勝本倫生、壷井繁治、山田竹系、水谷静眉ら香川ゆかりの人たちが軽妙で味わい深いエッセイを寄せていて、四国の伸びやかさが伝わってきます。ここに味覚番付表が載っているのですが、わずか50年の間にほとんど食べることがなくなってしまったものがたくさんあるようです。例えば張出小結に上げられている「白鳥ナマコのぼたもち」は、みなさんご存じですか?

(アートディレクター)

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