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瀬戸内物語 北川フラム

(4)つながりだした地域 海を越え国境を越えて

2011/04/30

大勢の島民、ボランティアらが解体を惜しんだ「小豆島の家」お別れセレモニー(4月3日)

大勢の島民、ボランティアらが解体を惜しんだ「小豆島の家」お別れセレモニー(4月3日)

 小豆島の人々に愛された王文志さんの竹でできた「小豆島の家」が解体されることになり、先日、お別れ会がありました。浜田知事、塩田小豆島町長、黒島県議、それに島の多くの方々に参加していただき、うれしい限りです。

 心のこもった催事で、出し物も香川県在住の中国人研究者・連仲友さんの二胡(にこ)の演奏があり、矢田徹さんの柝(き)による三番叟(さんばそう)も舞われました。特に地元の幼稚園児による口上は彼ら自身の、ここで遊んだ思い出も伝わり、気持ちのいいものでした。こまめ食堂や島の人たちと、こえび隊が協働して振る舞ったクッキーも素晴らしいものでした。

 「小豆島の家」は制作の最初から会期中、さらにその後も撤去を惜しむ声によって、あの盆地、石垣田園を眺める景勝の地の点睛(てんせい)として温かく守られてきました。

 九野自治会長がユーモアを交えて話してくれたあいさつで、最初の経緯を思い出しました。「北川さんが自治会にあいさつに来た時、何をしたらいいのかと聞くと、あんたらは何もせんでええ。そのうち必ず加わりたくなると言ったが、その通りになった。それはうれしいことだった」と述べられました。

 その通りでした。台湾から14人の竹作家の名人がやって来て、結果的には地元の人たちが頑張って約5千本の竹を切り出し、40日間かけて四つの小塔付きの高さ14メートルの大ドームが見事に立ち上がったのでした。内部の直径18メートルの空間では演奏会もでき、暑さの中をたどり着いた人々の昼寝の名所にもなったのです。

 高床式で二つの開口部からは、長い通り道のような回廊が延びていました。この間、香港からやって来た30人のサポーターは地元の人の手伝いと応援の中で、この地域に溶け込み、地元もやわらかく彼らを受け入れてくれました。竹の耐久性も考えて、当初の「会期中まで」という予定が3月末まで残ったのも、この作品への多くの人々の愛着があったからでしょう。

 小豆島の中山と肥土山にまたがる日本有数の美しい棚田をつなぐ地は、島に住む人たちにとって農業も海とともに大切だったことを教えてくれます。これらの棚田づくりを経営するために、いかほどの苦労があったでしょうか。

 日本列島をはじめ、太平洋・ミクロネシアの島々には、南から上ってきた人々が台湾を根拠地として、そこからもたらされた多くの植物があります。遥(はる)か8万年前に南アフリカから地球上に散ったわれら人類の祖先たちは丸木舟、筏(いかだ)で未知の航海に旅立つ際、必ず植物の種子を携えて出発したといいます。植物を育てなければ、生きていけないことを知っていたからです。

 小豆島の盆地生活の蓄積の中にできた棚田の美しさは、台湾の人々によって点睛が打たれることで、さらに輝きを増しました。それを地元の人々、そして里山の生活、海を渡ってきた祖先のDNAを持っている観衆全員が喜んだとはいえないでしょうか。

 王さんを知ったのは偶然でしたが、今思えば、それは必然だったかもしれません。台北市の駅舎競技設計に私は槇文彦チームの一員として参加しました。そこで台湾側のキュレーターのウーさんと知り合い、多くのアーティストの資料を紹介していただいた写真の中に王さんがいました。王さんは水辺を使った竹の作品が多く、それを観(み)るというより、人がそこに遊び、参加することを望んでいるふうでした。そこで新潟の「水と土の芸術祭」に招待しました。

 新潟では作品が台風で倒壊しましたが、ここでも市民に愛されていて、再建することになりました。小豆島の作品は、それらの経験を踏まえた強力なものでした。新潟での芸術祭の間、台湾の王さんの住んでいる嘉義県は大洪水に遭い、今でもその被害の爪痕は強烈に残っています。新潟市民はその時によく手伝いました。

 瀬戸内の芸術祭に、嘉義県の知事が来られ、ぜひアートを媒介にし、その地域の再興に手を貸してほしいと要望してくださいました。その後の東北の大震災です。世界のそこここの地域がつながりだした、という実感があります。このお別れ会の後、塩田町長が被災者受け入れについて積極的な案を説明してくれたのはうれしいことです。

(アートディレクター)

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