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瀬戸内物語 北川フラム

(31)瀬戸芸夏のトピックス 地域の特徴 際立たせる

2013/08/31

女木島で行われた「子ども創作劇」

女木島で行われた「子ども創作劇」

 瀬戸内国際芸術祭2013の夏会期はあす1日が最終日です。夏版の終わりにあたって、今回は直接的に作品をつくるわけではありませんが、地域の特徴を際立たせ、将来につながるものがたくさん行われているので、それらの話をします。

 EAT & ART TAROさんの「島スープ」が人気で、春の沙弥島、夏の伊吹島ともに開店1時間で完売が続いています。沙弥島では、あまり知られていない“カメノテ”、伊吹島ではイリコ漁の際にとれる使わない魚がベースになっています。

 TAROさんは自分の料理の腕で何か啓蒙するわけではありません。その土地の歴史、生活、料理法を島の婆(ばあ)ちゃんたちから聞き、学ぶのが楽しくて仕方がないのです。だから厨房には笑いが絶えません。しかし同時にそこから見えてくるのは海で魚がとれなくなっている厳しい現実なのです。

 瀬戸内海の漁獲高は1980年代には45万トンを超えていましたが、その後減少し、現在は半分以下になっています。魚が少ないからうまい魚が街の食堂、庶民の食卓に回ってこない。「島スープ」は、その現実を明らかにし、昔から地元にある独特の食を提供し、そこでできた人との関わりを残す。見事なものだ! 瀬戸芸の精髄です。

 生誕100周年を記念する丹下健三展(県立ミュージアム)のそもそもの経緯は、代表作である県庁舎がある香川県で、瀬戸内国際芸術祭の中心のイベントの一つとしてやれないだろうか、と始まった話でした。

 展覧会、カタログ出版、シンポジウムという3本の柱を立て、戦後日本の文化・建築界に多くの影響を与えた丹下の意味と、その瀬戸内への広がりを見ようと「丹下健三 ―伝統と創造― 瀬戸内から世界へ 展」が組まれ、浜田知事を委員長とする実行委員会が組織された結果、槙文彦、神谷宏治、谷口吉生、磯崎新、ホンマタカシ(写真)、原研哉(デザイン)ほか、藤森照信、安藤忠雄、伊東豊雄らオール日本建築といってもよい人たちが、文章、シンポジウムに参加するという丹下健三を顕彰するにふさわしいものになりました。

 この展覧会をめぐる作業のなかで、瀬戸内海は近代建築の優品が登場するに極めてよい環境、歴史的風土があったこと(モダニズム建築の国の重要文化財9件のうち4件が瀬戸内に位置する)、丹下の香川県庁舎がこの地域の建築設計、施工のレベルアップを刺激したことが分かりました。こういう国際レベルの展覧会作業をやること自体が地域の力を高めていくことが実感されたのです。

 8月17、18日には女木島の海岸で子ども創作劇の公演が行われました。演出・舞台美術、音楽、あるいは食事など、周りを囲む大人たちは万全な態勢を敷いてはいましたが、それでも生まれ、育ち、年齢(9〜19歳)が異なった子どもたちが初めて出会い、この暑さのなか8日間の合宿をするのは大変なことでした。しかし、稽古して公演するという目的があるので、大人たちさえ慌ててしまうトラブルなども明るく乗り越えていったそうです。

 最後の宿泊の日の公演に私は行きましたが、終了後の晴れやかな、はじけるような涙を忘れることはできません。子どもたちにとっても当然、夜の海に浮かび漂って行ったマーリア・ヴィルッカラによる美しい家の光景と同じように、生涯の記憶になるだろうと思いました。

 私たちはみんな社会や集団の中へ中へと潜り込もうとする傾向にあります。おびえた動物のするように。そこが不自由で身動きができず、管理されるだけの密集した場だというのに。海の復権というのは、海という広い、そしてどこかでつながっている生命のゆりかごを生かして何かを始め、私たちの世界を拓いていくことだとつくづく思ったのです。

(アートディレクター)

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