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瀬戸内物語 北川フラム

(30)瀬戸芸夏に思う 違いこそが普遍性

2013/07/27

作家や来賓を前に自分たちの歌「宝物」を披露する伊吹の子どもたち=7月20日、観音寺市伊吹島、旧伊吹小

作家や来賓を前に自分たちの歌「宝物」を披露する伊吹の子どもたち=7月20日、観音寺市伊吹島、旧伊吹小

 猛烈な暑さのなか瀬戸内国際芸術祭〈夏版〉がオープンしました。

 「おじいさま、おばあさまの笑顔を見たい」「海の復権」という目標は、はっきりしています。そのためにアートの持つ力を可能な限り発揮させるという方法も明快ですが、オープン前後の忙しいなかで、そこに海の底のようなもうひとつの大きなテーマがあることを実感しています。今回はそのところを記します。

 春の沙弥島もそうでしたが、伊吹島の熱気がすごい。もともと伊吹の夏はイリコ漁のシーズンで人手が全くといっていいほどなく、島の人は夏だけはだめだと尻込みしていたのですが、島の特色が明らかになるのはこの季節で、イリコ漁を見てもらおうと、敢(あ)えて夏開催に踏み切った島です。

 初日、汗だくで島を回りオープニングに駆けつけたのですが、そこでびっくり。テープカットの式次第も、こちらがびっくりするほど情熱のてんこ盛り。どうしちゃったのだろうか、と思うほどでした。

 確かに予兆はありました。廃校を使った豊福亮+Chiba Art Schoolは、学校の1階は海底、2階は水中という海の層を構想し、その中で使われた6万個のウキを伊吹島だけではなく観音寺市の多くの人が作っていました。夜の街歩きツアーも、アーティストを独自に頼んで手の込んだ見せ方を準備していました。アート作品は良いきっかけなのです。

 3年に1度のために準備を整えて本番を迎える。これが地域づくりのための歳時記になってきています。案の定、伊吹島の増便した6回の島と本土を結ぶ船は満杯です。もっとも心配した西端の島の健闘は瀬戸芸の可能性を拓(ひら)きつつあるように見えました。

 人口約1千人の小豆島の福田地区。伊吹島と対照的に最も東の小豆島の中でも行くには時間がかかるところです。ここでは廃校をアジア7カ国の美術組織が、校舎内の展示と島民との料理検討・ワークショップによる「アジアン食堂」の両輪で始めたのですが、“食”こそ美術の基礎だという瀬戸芸のコンセプトの通り、ここも住民、町職員総出で大健闘。

 初日のオープニング、21日のシンポジウム、パフォーマンスショー「バングラデシュ・プロジェクト」、22日の「アジア・アート・プラットフォーム構想をめぐって―私たちはグローバル化にどのように向き合うのか―」の2つのシンポジウムに多くの人が来られて盛況でした。ともに外国人が半数近く、まさに「一つの集落を通して国際交流を」という願望にとってよい出発になっていました。

 海が自由闊達(かったつ)なものになり、島が元気になるための構想は、海外とのつながり、美術・なかんずく食のつながりの強さが大切だということがあらためて分かりました。国と国の組織が交流することも大切ですが、ひとつの実態ある集落と関わることが、両方にとっておおいに刺激的であり、楽しいことであると感じています。

 実際、初めてのことであり準備の困難さがあったにもかかわらず、違う国の人同士、福田の人との関わり合いも、スタッフが心配するほど、やわらかで楽しかったようです。各共同体の特徴を深く掘り下げれば掘り下げるほど、違いが鮮明になり、その違いこそが逆にある共通性を持つということがよくわかるのです。お題目のスローガンではなく、違いこそが普遍性だということがよくわかるものでした。グローバリゼーションとは、表の共通性だけではなく、底にある違いこそが本質だということに気がつきます。

 瀬戸芸は、その島・地域の土地の特徴、そこに住む人の持つ力の総和としての方向性が大切だということをよく教えてくれます。高松港での「ベンガル島」も含めて、多様性こそが生命だと実感されるのです。

(アートディレクター)

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