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瀬戸内物語 北川フラム

(28)バングラデシュの賑わい 生活芸術を瀬戸芸で

2013/05/25

みかんぐみ+岡昇平+神奈川大学曽我部研究室による「高松港・アート工房 ―ベンガル島―」の模型

みかんぐみ+岡昇平+神奈川大学曽我部研究室による「高松港・アート工房 ―ベンガル島―」の模型

 バングラデシュは、ガンジス川を中心とする三つの大河によってできた三角州全体が国という、水と緑豊かな国です。公用語はベンガル語。日本の4割ほどの土地に、人口1億5千万人が住んでいます。この国から、「瀬戸内国際芸術祭 夏」に、総勢100人以上のアーティストが参加します。今回は、その画期的な意味について書きます。

 主として三つのタイプの人々がやってきます。一群は、ものづくりの職人たち39人。そして54人の演奏家・ダンサーたちで、高松港のアート広場が舞台になります。もう一群は高松市美術館の絵画展に出品する画家のうち12人です。

 バングラデシュ側は、国を挙げて人選をし、いわば国家プロジェクトとして芸術祭に参加します。これは普通よくある国際的規模の芸術祭では希有なことです。彼らは生活芸術を中心とした職人たちであり、歌舞音曲の芸人たちです。いわゆる高尚な(?)アーティストではありません。しかも、出来上がった作品が飾りたてられ、陳列されるものと違って、作っている現場を見せようというのです。いわば工房・手仕事作業所が軒を連ねるわけです。

 私たちは完成品、それも商品として洗練されたものを美術品として価値づけ、崇拝するようになりました。時には数億円するものもあり、それが優品だと思われがちです。しかし、これはフランス革命以後、市民社会ができ始めてから200年ぐらいの出来事です。宮殿の天井画が独立して壁にかけられるようになり、今までの王族・貴族に代わってブルジョアジーが絵を買うようになり、それが時代の風潮のなかで流行品になるわけです。

 それはそれで時代の必然だと思います。しかし片方に、やっとのことで島にたどりつき、魚を捕り貝や海藻を食べつつ、掘っ建て小屋を建て、持ってきた種を播き、苗を植え、それを食料にして生きてきた人たち、冒険者たちがいます。瀬戸内はこれらの子孫たちが生活してきた場所です。どう生きていくかのなかで、道具をつくり、工夫し、食事をしてきた人たち、そうして生きていくしかなかった人たちの活動を私は美術と言い、文化と呼んでみたいと思うのです。

 多くの手が必要な時、たくさんの道具が必要な時、人々は助け合い、協働してきました。バングラデシュには、その意味でのワーキングシェアがあり、特に首都ダッカの市場の賑わい、元気さは世界一だと言われています。作り、楽しむ、分ける、祝う。これらが生活の中にあります。この祝祭のような現象を現代の日本のなかで垣間見たい、と思ったのが、バングラデシュプロジェクトの出発でした。

 ジャムダニ織、巻きスカート、絨毯(じゅうたん)、刺繍(ししゅう)織、装飾焼き物、植木鉢や水瓶、粘土人形。ひょうたんや竹や、ヤギ皮を使った一弦・二弦の楽器、マンゴーの木を使った両面太鼓、竹でできた笛。ジュートを使ったバッグ、巻き貝を使った腕輪、木彫、籐(とう)細工などのほかに、リキシャ作りがあり、バスやトラックの色塗りも、木製の舟づくりもあります。これらの工房や市場が高松港に現出するのです。

 さらにここでは、伝統舞踊、伝統音楽、詩の朗読や歌が唄われ、部族のダンスを見ることができます。思えば、今から100年前、アジアで最初にノーベル文学賞を貰ったのはベンガル語を使った詩人タゴールでした。タゴールの来日は大正デモクラシーの大きな要素になったと言われています。彼らは一人一人のうちに歌と踊りと楽器鳴らしの要素をもっていて、しかも作って生きていくことが生き甲斐なのです。さらに、バングラデシュは日本と親しい。1971年に独立したときに、最初に認めたのは日本です。新たなエピソードが生まれる、瀬戸内海の将来が楽しみです。

(アートディレクター)

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