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瀬戸内物語 北川フラム

(27)瀬戸芸・春会期を終えて 文化を支えるもの

2013/04/27

万葉茶会で柿本人麻呂をしのびながらお茶を楽しむ参加者ら=香川県坂出市沙弥島

万葉茶会で柿本人麻呂をしのびながらお茶を楽しむ参加者ら=香川県坂出市沙弥島

 沙弥島の万葉茶会で講演された万葉研究の泰斗、今では日本文化についての提言も多い中西進先生に、講演前夜にお会いしました。金毘羅さんと白峰山に行ってこられたとのことでした。

 氏の著書「こころの日本文化史」(岩波書店)に沿って話を進めます。中西さんは、日本文化の周期を700年として、次のように分析します。

 紀元前3世紀=前古代(弥生時代から)−神信仰▽紀元5世紀=古代(河内王朝から)−王権−仏教▽紀元12世紀=中世(平家滅亡から)−覇権−儒教▽紀元19世紀=現代(明治維新から)−民権−国家神道…?

 そして、この古代、中世、現代の人性の特質、その目標、文化的活動の分野を次のように考えます。

古代=情念、感性、美、芸術
中世=知識、知性、真、学術
現代=意志、理性、善、道徳

 そして、最後に、現代に生きる人の動力として、情念と知識・意志によるものが働きの根源になると措定します。氏にとって「意志的に道徳に生きる人論が奨励され、意志力にあふれた文化が尊重される時代がいま来ようとしている」のであり、「意志の文化の中では個人の教養一つをとっても、従来型の内包的な“偉大なる暗闇”はもはや価値ではない。善を実現する意志に価値をおく時代が来る」と結んでいます。

 この分類に、うなずく部分もありながらも、普通、使ったことのない言葉が多いせいもあって、分からないことも多い。しかし、日本列島は縄文時代、南方に広がる太平洋文化圏の一部であったし、メラネシアにあるマナ信仰の働きが強いと述べておられるところは、瀬戸内国際芸術祭で多くの人が感じたところと近いような気がします。

 この芸術祭で大切な役割を果たしているのが、こえび隊の諸姉・諸兄です。制作の手伝いから、運営、日常の島の行事・清掃への参加など、島の人々とつながり、その明るいあいさつや説明は来島者と作品・島・島民をつないでいます。このこえび隊の人々の属性は、中西さんが考える現代の文化的特性からみるとどうなるのか、私は長いお話のあと考えながら帰途についたのです。

 こえび隊は、瀬戸内国際芸術祭が目指すアートをきっかけにした地域づくり“海の復権”をテーマに、爺さま婆さまの笑顔を見ようとの呼びかけに応じ、ボランタリーに参加している人たちです。その意味では、善性をもって理性的に考え、意志的に関わろうとしています。そのつながり方は、タテによる司令からではなく年齢・ジャンルを超えた同位の信頼関係です。本来の意味での民主主義に近いものです。

 私はここで今、もっとも本来的な意味での文化的活動である、生活に根ざした活動、あるいはその成果物を大切にし、そこに意味を見いだそうとしている人の共通性が宗教的なものとは思えないし、道徳だとは考えられないと思い、そんな時には自分を振り返るしかないという作業方法をとりたいのです。

 春会期では、沙弥島が頑張りました。「アーティストが作品を語る会」の時、高尾自治会長の話されたことが印象的でした。「五十嵐靖晃さんの『そらあみ』という長さ60メートル・高さ5メートルの網を、5つの島それぞれの漁師さんが作った。瀬戸大橋以来、リゾート開発等進められたが、今回の芸術祭の作業で、5つの島がつながった。こんなうれしいことはない」という趣旨の話でしたが、美術という、か弱い作業が、中西進さんや古代をつなぎ、空間的にも5つの島、全国の人をつないだのはうれしいことでした。これが文化というものかもしれません。

(アートディレクター)

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