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長谷川幸洋のニュース裏読み
緊迫する南シナ海情勢 米中の新冷戦は「現実」
2016/07/31更新
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 南シナ海問題でオランダ・ハーグの仲裁裁判所が中国の主権を否定する判決を出した。中国は激しく反発し、実弾のミサイル発射を含む軍事演習で示威活動をエスカレートさせている。今後、武力対決も辞さない覚悟で強硬路線を突き進むのだろうか。

 中国は28日、9月にロシアと南シナ海で合同軍事演習を実施すると発表した。米国は昨年秋以来、中国の岩礁埋め立て・軍事基地建設をけん制するため断続的にイージス艦を派遣し「航行の自由作戦」を展開している。

 今回、米国がイージス艦を出動させると、現場海域は中ロ米の軍艦が集結する形になる。まさに一触触発だ。逆に米国が派遣しないと、弱腰と受け取られかねない。いずれにせよ「9月の南シナ海」は、今後の東アジア情勢を占う分岐点になるだろう。

 中国は仲裁裁判決を紙くずと呼んで罵倒した。軍幹部は「軍隊は幻想を捨て、主権と権益を守るために最後の決定的役割を果たす」と豪語している。政府系の「環球時報」も「中国の軍事力は沈黙しない」と挑発した。

 こんな展開を見ると、かつての日本を思い出す。

 日本は1931年、関東軍が柳条湖で満州鉄道を爆破した。国際連盟はリットン調査団を現地に派遣し、満州における自治政府樹立を提言したが、日本はこれを不服として33年、国際連盟を脱退した。以後、2・26事件、盧溝橋事件を経て戦争への道をひた走っていった。

 国際連盟は非力ではあったが「法の支配」による世界平和を目指した組織だった。同じように、現代の国際海洋法条約も海の国際ルールを定めた法的枠組みである。

 中国は自分も批准した国際海洋法条約から脱退する可能性もちらつかせている。かつての日本のように、法の支配に背を向けて「力による支配」、まさに実力で南シナ海を奪取するつもりなのだ。

 米中のガチンコ対決は東南アジアにも暗い影を落としている。先の東南アジア諸国連合(ASEAN)外相会議は親中派のカンボジア、ラオスと親米派のベトナム、フィリピンなどが対立し、仲裁裁判決に対する評価は共同声明に入らなかった。

 ASEANは米中対決の荒波に飲み込まれて実質的に分裂している。かつての冷戦は米国と旧ソ連が世界を東西ブロックに分断して対立したが、いま米中は東南アジアを互いの陣営に切り分けつつある。

 もはや米中の新冷戦は「いまそこにある現実」だ。日本も米国も政府関係者は「それを言ったら外交の終わり」と知っているから絶対に口にしないが、戦略家にとって中国との武力衝突は想定シナリオの一つとみていい。

 一方の主役である米国では大統領選が進んでいる。

 民主党のクリントン候補は「日本に対する歴史的責務を果たす」として日米安保体制を堅持する構えだが、共和党のトランプ候補は在日米軍の引き揚げに言及している。

 トランプ氏が大統領になれば、オバマ大統領の下で進められた航行の自由作戦は見直され、中国との妥協に動く可能性もある。中国はそれが分かっているから、軍事演習で既成事実の積み上げを急いでいる。いまは「取ったもん勝ち」とみているのだ。  南シナ海の運命は日本にも直結する。ここは座視できない。米軍とともに海上自衛隊による本格的監視・パトロール活動参加を検討すべき段階ではないか。

 (東京新聞・中日新聞論説副主幹、四国新聞特別コラムニスト)

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