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長谷川幸洋のニュース裏読み
期待薄のG20合意 高まる世界経済リスク
2016/02/29更新
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 中国・上海で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は通貨安競争の回避などで合意した。だが、世界経済が直面するリスクの根源である中国の景気後退を食い止める効果は期待できない。むしろ悪化させる可能性すらある。

 たしかに中国人民銀行は昨年8月、人民元相場を切り下げた。だが、その後は政策当局の意図を超えて猛烈な人民元売りの圧力にさらされた。その結果、人民銀は自国通貨防衛のためにドル売り人民元買いの市場介入を迫られた。それが外貨準備高の急減となって表面化している。

 つまり、人民元安は政策の結果というより、中国人自身(多くは共産党関係者)が人民元を見限ったためだ。

 G20が合意した「通貨安競争の回避」とは、中国に対して「人民元暴落を防ぐためにドル売り介入せよ」と要求したも同然だ。これが何を意味するか。当局がドル売り人民元買い介入すると、社会に流通する人民元の量が減るので金融引き締めになる。

 景気が悪化しているのだから、本来なら通貨供給を増やして景気を刺激しなければならない。だが、市場介入は通貨供給量を減らして、逆に景気を引き締めてしまう。言ってみれば、G20の声明は「人民元安を回避できるなら、中国の景気がさらに悪くなろうとかまわない」と言っているのと同じなのだ。

 背景には「人民元安のために、自国が輸出で不利になるのを容認できない」という判断がある。短期的には正しいかもしれないが、中国経済の破局が巡り巡って、やがて自分たちに火の粉が降り注ぐのを忘れているかのようだ。

 市場介入を容認する以外に別の選択肢はなかったのだろうか。会議前にメディアでとりざたされていたのは、資本規制の導入策だった。

 簡単にいえば、人民元売りドル買い圧力が強いのが原因なのだから「ドル買いを規制してしまえ」という話だ。

 だが、そんな規制を本気で導入すれば、中国に対する外資の投資熱が一挙に冷えてしまう。外貨と交換できないなら、投資で得た利益を自国に送金できないからだ。

 それだけでなく、国際通貨基金(IMF)の特別引出権(SDR)通貨入りを果たしたばかりの中国を温情扱いする形にもなる。IMFは資本の移動規制ではなく自由化が大原則であるはずだ。

 そんな資本規制の旗を振っていたのは、なんと日本の財政通貨当局だった。日本は人民元のSDR入り問題で手痛い敗北を喫したというのに、いままた中国に塩を送るとはまったく理解しがたい。消費増税を実現するために、なりふりかまわず中国に持ちこたえてもらいたいのか。

 中国にとって選択肢は結局、景気悪化を覚悟して市場介入を続けるか、資本規制に踏み切るか、それともいっそ人民元安を放置するか、の3つに絞られる。

 これは「国際金融のトリレンマ」として広く知られた原理である。自由な金融政策と自由な資本移動、為替安定の3つは同時に成り立たず、どれか1つは犠牲にしなければならないのだ。

 なぜ、こういう事態に追い込まれたかといえば、繰り返すが、中国人自身が人民元を売っているからだ。自国通貨を見限るとは、いま欧州をさまよう中東難民や、かつてソ連崩壊を目前にしたロシア市民と同じではないか。この1点を見ても、中国の将来は危ういと言わざるをえない。

 当面、手品のような解決策はない。世界経済のリスクはますます高まっている。

(東京新聞・中日新聞論説副主幹、四国新聞特別コラムニスト)

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