天気予報を見る
 
新聞購読申込
連載TOP > 連載 > 長谷川幸洋のニュース裏読み > 記事詳細

連載

 
 
 
長谷川幸洋のニュース裏読み
激動の南シナ海 「米中冷戦」の幕開けか
2015/11/01更新
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 中国をめぐる情勢が揺れ動いている。英国が実利優先で中国にすり寄る一方、米国は中国が南シナ海で岩礁を埋め立てて建設中の人工島周辺にイージス駆逐艦を進入させた。一連の動きが歴史の転換点になるのは間違いない。

 まず英国からみていこう。

 エリザベス女王は訪英した習近平国家主席夫妻をバッキンガム宮殿に宿泊させ、国を挙げて大歓待した。人民元建ての中国国債をロンドン金融市場で発行する話や英国の原発事業に対する中国の出資などが決まった。

 英国の対中接近は中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加を決めた3月から始まっていた。英国はインフラ投資ビジネスで手数料を稼ぐ一方、中国はロンドンを突破口に人民元の国際化を加速できるうまみがある。

 英国にとって遠く離れた中国は安全保障上の脅威になる懸念がない。だから安心して中国をビジネスパートナーとして位置づけたのである。

 英国には合理的判断かもしれないが、中国に尖閣諸島や南シナ海の平和と安定を脅かされている日本や米国とすれば、ほとんど「裏切り」と言ってもいい振る舞いだ。

 これは1938年のミュンヘン会議を思い出させる。当時のチェンバレン英首相は会議でヒトラーの要求に屈して、チェコスロバキア・ズデーデン地方の割譲をナチス・ドイツに認めてしまった。英国の弱腰を見たヒトラーは翌年、ポーランドに侵攻、第2次大戦が幕を開けた。

 ミュンヘンの失敗は英国の「融和政策」が悲劇を招いた実例として歴史に刻まれている。英国は今回もまた自国利益のために甘い顔をして中国の台頭を許すのだろうか。

 習主席が帰国すると、米国は直ちにイージス駆逐艦と哨戒機を南シナ海に派遣して、人工島周辺12カイリ(約22キロ)内に進入させた。

 中国はこれに猛反発しているが、本気で米国に反撃する気配を見せていない。中国艦2隻が駆逐艦の後を追尾しているだけだ。米国の軍事力は圧倒的に中国をしのいでいる。手を出せば、あっという間に撃退されてしまうことが分かっているのだ。

 米国はこれ以上、中国の国際法無視を容認しない姿勢をはっきりさせた。先の米中首脳会談でオバマ大統領の膝詰め談判にもかかわらず、習主席は人工島問題でまったく妥協しなかったからだ。

 となると、これから米中関係はどうなるのだろうか。

 環境問題など中国との協調が必要な分野はある。だからといって「人工島も領土だ」という無法を見逃せば、世界の法秩序は乱れ、平和と安定が損なわれる。いったん進入した以上、米国側が兵を退く選択肢はない。

 中国も意地を見せて当面は基地建設を続けるだろう。米中のガチンコ対決である。

 かつての米ソ冷戦は第2次大戦終結直後から半世紀近くにわたって続いた。台湾をめぐる米中対立も54年、58年、95年と3次にわたって軍事危機を経験している。

 中国が基地建設をあきらめない限り、これから何年も両国のにらみ合いが続く可能性が高い。そうなれば、まさしく「米中冷戦」である。

 日本が中国に肩入れする選択肢はありえない。ここは米国とともに、しっかり中国に向き合う。中国に脅かされているフィリピン、ベトナム、マレーシア、さらにオーストラリアなどとも連携して「航行の自由」を守る。ここからが日本の正念場だ。

(東京新聞・中日新聞論説副主幹、四国新聞特別コラムニスト)


twitter @hasegawa24https://twitter.com/hasegawa24

47CLUB(よんななクラブ)

47CLUB
全国の良質な品々を厳選してお届け

盆栽

盆栽
産地香川から盆栽文化をお届け

オンラインショップ情報

ショップ情報
オススメの買い物サイトをご紹介

讃岐囲碁サロン

讃岐囲碁サロン
ネットで世界の囲碁ファンと対局!

みみより新聞

みみより新聞
視覚障害者向けニュースサイト

住宅展示場情報

住宅展示場
家造りに関する情報盛りだくさん

生活情報紙・オアシス

オアシス
暮らしの身近な情報満載

健康新聞

健康新聞
元気な暮らしに役立つ情報を紹介

ちょこっと広告・パネット

パネット
四国新聞を伝言板として使おう!

求人情報紙・ジョブ

ジョブ
週刊発行!チラシタイプの求人情報

おりーぶ通信

おりーぶ通信
女性通信員のページ

   
▲このページのトップに戻る
購読のお申込みは0120-084-459

SHIKOKU NEWS 内に掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。 すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。

Copyright (C) 1997- THE SHIKOKU SHIMBUN. All Rights Reserved.