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長谷川幸洋のニュース裏読み
安保法制論議 戦争と平和のリアリズム
2015/04/29更新
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 安全保障法制をめぐる与党協議が決着した。安倍晋三政権は関連法案を5月半ばにも国会に提出し、与野党の論戦が始まる。そこで、もっとも根本の問題を整理しておこう。

 論点は大きく二つに分かれる。日本の平和と安全をどう確保するか、それから国際社会の平和と安全に日本がどう貢献するか、である。

 まず日本だ。日本は長い間、曲がりなりにも平和を享受してきた。だが、いま脅威に直面している。北朝鮮は核実験を繰り返し、日本海にミサイルも発射した。テロリストが日本人2人を誘拐、殺害したとみられる事件が起きたのは、つい最近だった。

 それに中国である。中国は「尖閣諸島は自分のもの」と主張し、漁船や公船が周辺の領海を数十回も侵犯している。軍事費は過去26年間で40倍、10年間で4倍に増やし、核兵器やミサイルだけでなく空母をはじめ海上戦力も大幅に強化してきた。

 こうした脅威にどう対抗するか。選択肢は二つに分かれる。まず日本が単独で中国に対抗する。もう一つは米国との同盟関係を深めることによって抑止力を高める方策だ。

 日本は単独で中国に対抗できるのだろうか。答えを先に言えば、できない。中国は人口で日本の10倍、国内総生産(GDP)は1・5倍である。中国は軍事費に毎年GDPの2%を費やしているが、日本は1%にすぎない。2014年の軍事費は日本の4倍に達している。

 つまり、日本が中国に追いつこうと思ったら、毎年の防衛費を3〜4倍にする必要がある。そんなことはできないのだ。なぜかといえば、いま年5兆円の防衛費を10〜15兆円も増やすには、国民の年金や医療、介護など社会保障費に手を付けざるをえない。あるいは国債の大幅増発か大増税が必要になるからだ。それだけではない。

 論理的には徴兵制も課題になる。誰にも頼らないなら、自分で自分の国を守るしかない。「集団的自衛権を認めたら日本が徴兵制になる」といった声があるが、まったくトンチンカンだ。個別的自衛権だけで守ろうとしたら、それこそ徴兵制に向かわざるをえない。実際、永世中立を宣言しているスイスは徴兵制を採用している。

 賢明な国民は、社会保障を削ったり国債増発、大増税によって軍事国家を目指すような政権をけっして容認しないだろう。一部には「日本が核武装すればいい」という極論もある。それこそ国民も米国も絶対に容認しない。だからこそ結局、米国との同盟強化がもっとも安上がりで、かつ現実的な選択になるのである。

 次に国際的な平和と安定への貢献はどうか。たとえば、国連の平和維持活動はかつて停戦監視が主な任務だった。いまや武装解除や選挙実施、治安維持のような国作りに関わっている。ともに働く他国の部隊を守る必要がある局面も出てくるかもしれない。

 そんな任務を果たすには、一定の条件下で武器の使用も認めざるをえない。自衛隊員の安全を守るためには、絶対に認めないほうがむしろ危険ではないか。

 集団的自衛権の限定的容認を前提とした安保法制整備とは、こういう話である。「日本が戦争をする国になる」といった話ではない。国と国民を脅かす脅威から守り、戦争を抑止する。そして世界の平和に貢献するためだ。左翼陣営の話はまったく逆なのだ。

 中国や北朝鮮との外交努力や経済取引深化を通じた平和と安定の確保はもちろん重要だ。だからといって「話せば分かるはず」と相手の善意を信じて抑止力強化を怠るのは、かえって危険である。こちらの弱さ、軍事的な不均衡が戦争を誘発する。それが歴史の真実だ。朝鮮戦争も米国が不介入を匂わせてしまったのが一因だった。

 今回の安保法制論議を通じて、戦争と平和のリアリズムを見つめ直す機会にしたい。

 (東京新聞・中日新聞論説副主幹、四国新聞特別コラムニスト)


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