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長谷川幸洋のニュース裏読み
AIIBへの対応 中国にどう向き合うか
2015/03/29更新
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 中国が設立をめざすアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加をめぐって、主要国の対応が割れている。英国など欧州6カ国が参加を表明し、カナダやオーストラリアも参加を検討中と報じられた。一方、米国と日本は慎重姿勢だ。

 中国とすれば、これまで世界の金融秩序を牛耳ってきた主要7カ国(G7)に亀裂を生じさせた形だ。存在感を世界に示して「してやったり!」と快哉(かいさい)を叫んでいるだろう。この事態をどうみるか。まず、日米欧で対応が異なった理由である。

 AIIBは銀行の話だから経済問題と思われがちだが、実は安全保障や外交と密接に関わっている。経済の実利と外交安保上の利益のどちらに重点を置くか、で日米欧の対応が割れたとみていい。言い換えると、判断軸は「中国を脅威と見るか否か」である。

 欧州にとって、中国は脅威だろうか。脅威ではない。中国が欧州に軍事侵攻する可能性は限りなくゼロに近いからだ。中国が欧州に攻め入るには、中東かロシアの大陸を越えていくか、インド洋を超えて大艦隊を派遣しなければならない。核大国のロシアを越境する事態はありえないし、中国には大海原を渡って作戦行動する大艦隊もない。

 欧州にとって、中国は本質的にビジネスパートナーである。そうであれば、仮に主導権を握れないとしても、AIIBに参加して約8兆ドルといわれるアジアのインフラ投資ビジネスの分け前を受け取ったほうがプラスなのだ。

 これに対して、日本と米国は事情が異なる。日本が中国に尖閣諸島を脅かされているのは言うまでもない。米国も南シナ海が中国に奪われたら、タイとフィリピンの同盟国、マレーシアやインドネシア、シンガポールなど友好国を含めた東南アジア全域が中国の強い影響下に置かれてしまう。

 日本にとって中国は直接的な脅威であり、米国にも潜在的な脅威なのだ。

 AIIBがどういう基準で途上国に融資するかは今後の設立交渉次第だが、すでに「本部は北京に置く」と決まっている。つまり事務局を仕切るのは中国だ。仮に日米が参加したところで、あの手この手で中国は主導権をけっして譲らないだろう。中国とすれば、日米欧に主導権を奪われるようなAIIBなら、そもそも設立する意味はない。

 中国が仕切るAIIBはどういうふうに動くか。中国の都合がいい国にカネが流れる。たとえば空港や港湾整備に資金を出したとしよう。受注するのは当然、中国企業が最優先になるに違いない。中国の建設やエンジニアリング会社はシャドーバンキングの破綻で国内でもう仕事がない。AIIBのカネを使って、今度は途上国で荒稼ぎする目算なのだ。

 完成した暁には何が起きるか。中国の航空会社や中国艦船の優先受け入れを融資の条件にする可能性もある。そうなれば事実上、新たな軍港の誕生である。そういう事態が目に見えているから、米国は話に乗れないのだ。融資条件とか銀行のガバナンス(統治)がどうこうといった話はきれいな建前論にすぎない。本音の理由は安全保障上の懸念である。

 では、日本はどうするか。

 安倍晋三政権はとりあえず3月末の返答期限を脇において、融資基準やガバナンスについて中国の出方を見守る構えだ。経済界の一部には「日本も参加しないとビジネスで不利になるのではないか」という声もある。これは甘い。

 人民元の国際化で中国の役に立つ欧州はともかく、中国がみすみす日本企業に利益を与える理由がどこにあるのか。もっとも重要なのは米国と歩調をそろえることだ。日本は日米同盟があって初めて中国の脅威に対抗できる。同じ同盟国であっても、中国の脅威を心配しないで済む英国と日本は、そこが違うのだ。

 (東京新聞・中日新聞論説副主幹、四国新聞特別コラムニスト)


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