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低いコスト意識 予算使い切りも背景 ―第3部 談合というシステム 8.
 「あまりにも不自然。いくら工事の単価などが公表されていても、ピタッと合うのはおかしい」
 寒川町の元町議(72)が取り出したのは、町発注工事の予定価格などが入った資料。指摘した十三件の平均落札率(予定価格に対する落札金額の割合)は99・5%で、うち四件は両者が一致していた。
 指名業者はすべて同じ六社で、落札はいずれも地元の同一業者。元町議は「落札率からも談合は明らかで、町にも責任がある」と批判する。
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完成して間もない寒川町の門入浄水場。この造成工事でも予定価格と落札金額はピタリと一致していた
完成して間もない寒川町の門入浄水場。この造成工事でも予定価格と落札金額はピタリと一致していた
 九九年三月、元町議らは町長や落札業者らを相手取り、町に与えた損害約五千七百万円を返還するよう求めて提訴。現在も係争中だ。
 これに対し、町側は「入札は適正に行われた。たくさんある工事の一部だけを取り上げて問題にしている」と反論する。
 同町のシステムでは、予定価格は一回目の入札後に町幹部が話し合って決める。「金額が一致しているのは業者の積算が正確なため。一〇〇%の落札率も決して珍しいことではない」と同町建設課。
 さらに「指名にはある程度の実績が必要。どうしても顔ぶれは同じようになるが、特定の業者ばかりに偏っているわけではない」と強調する。
 だが、複数の業者は「落札率が一〇〇%になる可能性は極めて低い」と口をそろえる。仮に設計価格が積算できても、歩引き率は工事ごとに異なる。それが何度も一致するはずがない、というのだ。
 問題の工事の中には、一回目の入札で予定価格と一致しているケースもあったという。「これが偶然のわけがない」。元町議はあくまで法廷で追及する姿勢だ。
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 寒川町に限らず、行政は「落札率の高さは企業努力」として、ほとんど問題視していない。その背景には「予算を余らせたくないという意識がある」と業界関係者は指摘する。
 「予定価格に近い方が役所にとっても都合がいい」と話すのは大川郡内の建設業者。「予算が余れば、役所の担当者も困る。設計を変更したり、他の工事を作らなければいけない。余計な仕事になるから、そりゃみんな嫌ですよ」。
 この業者は、かつてある公共工事で低価格入札をしたため、次の指名を外されたという。「本来なら指名されるはずの工事。役所はダンピングが理由とは言わないが、それしか考えられない」。
 最近でこそ、財政事情の厳しさから予定価格を決める際の歩引き率を20%や30%にする自治体もあるが、行政のコスト意識は決して高いとは言えない。
 「安い価格で不良工事をされるよりは、多少高くてもちゃんとしたものを」という考え方も一般的だ。
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 こうした行政側の意識は、補助金システムにも原因があるといわれる。
 余った補助金は、工事が完了すれば返すのが建前だが、「実際に返したケースはほとんど聞いたことがない」と県土木監理課。
 役所にとって予算は「使い切り」が常識。補助金が余れば、追加工事を組んで予算を使い切ることを考える。それが担当者の才覚でもあった。
 「さまざまなしばりのある現在の補助金行政では、コストを下げにくい」との声もある。
 予算使い切りの発想をやめる。まず公共工事の「常識」を問い直すことが、行政にも求められている。
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