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伝統の心大切に「記憶に残る料理」

二蝶社長・山本 亘さん

二蝶社長・山本 亘さん

2009/06/21

 1946年創業の料亭二蝶。日本料亭の伝統を守りながらも、和食材だけにとらわれない新しい料理を提供するなど、時代の変化に合わせ幅広い世代から支持を集めている。料理長兼社長の山本亘さん(39)に、料理に対する思いや料亭の未来像について聞いた。

        ◇

  福井県の民宿に生まれたが、少年時代から好きだったのは機械いじり。工業高校で学び、理系大学への進学も決まっていた。そんな時、いとこの誘いでマクドナルドの調理場を経験し、初めて料理の楽しさに触れた。自分の進むべき道を直感、大学進学をやめ、調理師専門学校へ進路を変えた。

  卒業後、神戸市の和食料亭や石川県の旅館で修業させてもらい、自ら腕を磨いた。二蝶へ来るきっかけは、二蝶で働くことになった旅館の師匠に「一緒に働け」と言われたこと。どこでも対応できるのが料理人と思い入社を決断、ひたすら料理に打ち込んだ。

  途中、5年間修業に出た後、9年前再び二蝶へ。魚屋への配属や所属した割烹(かっぽう)部門の廃止など苦労が続き、修業の成果を発揮するどころか、料理をする環境すらなく悔しい思いをした。

  そんな折に出会ったのが、フランス料理店「ボワ・エ・デュポン」の木場巳雄さん。デザートを学ぼうと研修していたとき、私が作ったまかないを食べた木場さんは「おまえが作ると、なんでも日本料理になる」と言ってくれた。この言葉は今でも心の支え。日本料理への固定観念が取り払われ、自分の料理で挑戦しようと自信を持った。

  4月から料理長兼経営者に。今は食を通じていろんなことにチャレンジできる楽しさで充実している。料理人としては「記憶に残る料理」にこだわりたい。夢は県外、海外からもお客さまが来てくれる店にすること。ただ、伝統の心は大切にしていきたい。

プロフィル

やまもと・わたる 1969年生まれ。89年に辻調理師専門学校を卒業後、料亭や旅館で修業を積み、94年、二蝶に入社。途中5年間の修業を経て、9年前に戻る。割烹部門の料理長などを歴任し、4月から料理長兼社長を務める。

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