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まっさらな木に向かうときは「格闘技」

欄間・寺社彫刻職人 山本忠重さん

欄間・寺社彫刻職人 山本忠重さん

2009/04/12

 欄間・寺社彫刻職人として活躍し、昨年県展彫刻部門で県知事賞を受賞した山本忠重さん(61)。「生涯一職人として、与えられた仕事を一生懸命やる」という山本さんに人生の転機やモットーについて聞いた。
       ◇
  父は欄間職人だったが、跡は継がずにサラリーマンになろうと高松商高に進学。父は継いでほしいと思っていたかもしれないが、何も言わなかった。卒業して1年間働いた後、長男として両親の面倒をみなくてはと仕事を辞め、父の手伝いを始めた。これからどうするのかと父に問われて跡を継ぐことになり、大阪にいる父の兄弟子のもとで3年間の丁稚[でっち]奉公と半年間のお礼奉公をした。
  23歳で高松に帰郷。当時は仕事があったが、1975年ごろには激減し、続けるか辞めるかの瀬戸際に。しかし、父の「職人は手を動かしていなくてはいけない」と仕事を黙々と続ける姿や、妻の「何十年と作品が残るいい仕事なんだから」という言葉もあり仕事を続けようと決めた。
  職人として心がけているのは、与えられた仕事を精いっぱいやるということ。まっさらな木に向かうときは、ある意味「格闘技」。「この木をどうやっつけてやろう?」と考えながら下絵を描いている。
  8年ほど前から県展に出品し始めた。昨年県知事賞を受賞した「掴[つか]む」は、長年がんばってきた周りの職人たちの手を見て、一緒にがんばろう、まだまだ負けないぞという思いで作った。今までは生活を支えるために必死でやってきたが、応援してくれる人に恩返しをしていかなくてはと思い始めた。
  職人は名誉も地位もないが、恩返しをするためには「心こそ大切なれ」という言葉を胸に、人と心と心で通じ合うような生き方をすべきだと思う。

プロフィル

1948年生まれ。高松商高卒。1年間の会社勤めの後、大阪で3年半修業。約8年前から県展に出品しており、昨年彫刻部門で県知事賞を受賞した。

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