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心のやりとりがコミュニケーションの原点

中條文化振興財団事務局長 中條晴之さん

中條文化振興財団事務局長 中條晴之さん

2012/03/25

 高松市内の閑静な住宅街に、ひときわ緑の多い和風建築がある。邸宅には茶室が3席。1997年、世界で通用する人材を育成しようと中條文化振興財団が整備した。知識や教養として自国の文化の何を学び、国際的な通用性や競争力を身に付ければよいのか。同財団の事務局長を務める中條晴之さん(55)にヒントを聞いた。

        ◇

 高松で生まれたが、銀行員だった父の転勤で、各地を転々とする少年時代を過ごした。大学時代、部活動の印刷物などを手掛けるうちに、職人芸が息づく印刷の世界に興味が湧いた。

  印刷会社で営業職として9年間、写植や版下、製版など、それぞれの分野のエキスパートに技を学んだ。やがて大手電機メーカーがこぞってワープロを開発、印刷業界にデジタル化の波が押し寄せた。

  印刷に職人芸が必要とされた時代は過ぎた。自らの居場所を再構築しようと考えていたところ、財団の事務局長として運営を取り仕切るようにと言われ、帰郷。当初、形骸化したお茶の世界に興味はなく、玄関番や露地の掃除など「茶室の管理人になればいい」と割り切った。

  管理人としてさまざまな流派の先生が開く茶席を見るうちに、それぞれの席に個性があることに気付いた。

  むさぼるようにお茶の本を読み、茶室を建てた棟梁(とうりょう)に何度も話を聞いた。寸法や材、組み合わせなど、一つ一つに意味や由来、思いや願いがあり、それを形にしたものが茶室であることを知った。形に込められた心を茶席で読み取るのも楽しい。

  心を伝えること、相手の心を読み取ることがコミュニケーションの原点だ。その心のやりとりをするのがお茶の醍醐味(だいごみ)。誰もがフェース・ツー・フェースでコミュニケーションする時代になれば、と願っている。

プロフィル

ちゅうじょう・はるゆき 1956年高松市生まれ。大手前高松高を経て、法政大法学部中退。99年、中條文化振興財団事務局長に就任。1枚の茶券で茶席を巡る大茶会を2005年から毎年開くなど、お茶を通じた日本文化の普及と発展に力を注ぐ。03年、高松市文化奨励賞。

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