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努力以上の執念で主力の清酒を全国区に

綾菊酒造の杜氏 国重弘明さん

綾菊酒造の杜氏 国重弘明さん

2012/02/26

 1790年の創業以来、「郷土と共に」の精神で地元の水と米を使った酒造りを貫く綾菊酒造(綾川町)で、杜氏(とうじ)を務める国重弘明さん(75)。主力の清酒「綾菊」を全国区に押し上げた現代の名工に、酒造りの原点や思いなどを聞いた。

  広島県安芸津町の専業農家に生まれた。父は杜氏で、幼少のころはハワイで酒を造っていた。まちの男たちも冬になると各地に酒造りに出掛けていた。

  酒造りをする考えはなかったが、高校卒業後に農業をしながら地元の酒屋で事務をするようになり、そこで酒蔵の職人が楽しそうに仕事をする姿に興味を持ち、数年後、事務職を辞めて酒造りの道で生きていこうと決めた。

  一年のうち半年は農業、半年は酒造りという生活だったが、酒造りは面白かった。9年間修業し杜氏となったが、つらいとか苦しいと思ったことはない。

  1970年に綾菊酒造の杜氏に就任。当時は原料米が香川の残り物の寄せ集めだったので、上司に品種統一を要望。そこで使うようになったのが地元米のオオセト。ただ、オオセトは酒造りに適した米ではなく一般米。吸水性が悪く溶けにくいなど、とにかく大変だった。

  米を洗ったり、もろみの発酵を管理する機械の開発を行うなど一歩一歩、技術を確立。10年の苦労を重ね、ようやく米の特長を生かした酒が造れるようになった。全国新酒鑑評会ではこれまで、13年連続を含む20回の金賞を受賞した。

  蔵仕事に携わって半世紀以上。努力だけでは乗り越えられない壁はたくさんあったが、努力以上の執念で突き破ってきた。物作りは究めることができないからこそ面白い。後継者を育てながら元気な限り酒を造り続け、今なお果たせていない好みの酒を求めていきたい。

プロフィル

くにしげ・ひろあき 1936年広島県生まれ。70年に綾菊酒造の杜氏に就任。95年、県内の杜氏で初めて現代の名工(労働大臣表彰)に選ばれる。

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