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被災地にせんべい、お菓子の持つ力信じる

宗家くつわ堂社長・田村日出男さん

宗家くつわ堂社長・田村日出男さん

2011/05/22

 香川を代表する銘菓に数えられる「瓦せんべい」の味を、1877年の創業以来守り続ける宗家くつわ堂(高松市)。香川にちなんだ菓子を幾つも手掛けているほか、ミドリムシ入りのカステラを昨年から販売し、話題を集めている。5代目の田村日出男社長(77)に菓子づくりへの思いなどを聞いた。

 6人きょうだいの長男で、小学6年の時、戦争で父親を亡くした。家業を手伝うため、高校時代から学校に行きながらせんべいを焼いていた。

 商売は祖父の影響を大きく受けた。曲がったことが嫌いな人で、「自分がいいと思ったことを真っすぐやっていけ」と言われた。今でも祖父にはとても追いついていない。

 瓦せんべいは、基本的に製法、味ともに創業以来変えていない。県産の白下糖を使い、職人の手で一枚一枚焼いている。非常に硬いので、果たして今の時代に合っているのかどうかといつも考えているが、愛され続けていることに幸せを感じる。

 このほか、香川の土産菓子として、モナカの「奉公さん」や焼き菓子の「サンポート」、パイ菓子の「瀬戸の都」なども作った。食べた人に香川を感じてもらうとともに、地域を元気にすることができればと思う。

 昨年からは「みどりむしカステラ」をラインアップに加えた。ミドリムシは植物と動物の両方の性質を備え、豊富なビタミン類のほか、人の不要物を吸着して排出する性質もあるという。このミドリムシが1本のカステラに約2億匹含まれている。虫みたいな名前が付くのはどうかと抵抗感があったが、評判は良く、主力商品に育っている。

 お菓子は気持ちを和やかにしたり、楽しくしたりするほか、コミュニケーションの仲立ちをして会話を弾ませる効果がある。このほど、東日本大震災の被災者を元気づけたいと、せんべいを送った。これからもお菓子が持つ大きな力を信じて仕事をしていきたい。

プロフィル

たむら・ひでお 1933年、高松市生まれ。高松高校を卒業後、家業の宗家くつわ堂で勤務し、90年に5代目として社長に就任。県菓子工業組合理事長。

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