第89回全国高校野球選手権大会第2日は9日、甲子園球場で1回戦を行い、近江(滋賀)今治西(愛媛)仙台育英(宮城)智弁学園(奈良)が2回戦へ進んだ。智弁学園と対戦した県代表の尽誠は2点ビハインドの五回、失策からピンチを招き、エース藤井が3点本塁打を浴びるなどして計6失点。流れを失った。打線は七回、赤穂の右翼線2点二塁打で意地を見せたが、2―12で完敗した。近江は同点に追いつかれた直後の四回、山田の適時二塁打などで3点を勝ち越し。4投手のリレーで松商学園(長野)の反撃を断ち、9―3で勝った。今治西は、集中打で五回に4点、六回に7点と大量点を挙げ、34年ぶり出場の八代東(熊本)に12―1と圧勝した。今治西は春夏通算30勝。仙台育英は八回に橋本の三塁打で2点を勝ち越し、好投手の佐藤由が毎回の17三振を奪う力投を見せて昨夏4強の智弁和歌山(和歌山)を4―2で下した。
▽1回戦(第4試合)
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計 |
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2 |
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| 智弁学園(奈 良) |
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0 |
2 |
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6 |
0 |
0 |
4 |
× |
12 |
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▽本塁打 関本1号(3)(藤井)2号(3)(坂田)
▽三塁打 佐藤▽二塁打 赤穂▽犠打 馳平、赤穂、稲森、内之倉▽盗塁 土井▽失策 山下、杉山、高島、木内、岸田、内之倉▽暴投 藤井2
▽試合時間 2時間32分
【評】尽誠は守りで流れを失った。計4失策に加え、頼みのエース藤井が5回で5四球。破壊力で勝る智弁学園打線につけ込まれ、思わぬ大敗を喫した。
尽誠は三回、先頭打者を振り逃げで許した後、左腕藤井が押し出しを含む3連続四球を与え、さらに左前適時打を浴びて計2失点。何とか踏みとどまったが、痛かったのは五回。遊ゴロ失で先頭打者を出し、四球と右前打で無死満塁と傷口を広げた。次打者の左前適時打に中継ミスが重なり2失点。一死後の一、二塁では藤井がスライダーを狙い打たれ、中越えに特大の3点本塁打を浴び、試合の大勢が決まった。
打線は9安打したが、7本が七回以降。相手の先発右腕内之倉の緩急にほんろうされ、一回二死一、三塁や五回二死二塁を生かせず、流れを一度も手にすることができなかった。
智弁学園は10安打で12得点。尽誠の守備の乱れを逃さず攻めた。
完全な力負け
尽誠・下山優監督 一、二回の藤井の投球を見て、こういう展開は考えられなかった。完全な力負け。選手には(入院中の)岡嶋コーチのために、という気持ちもあったと思う。勝利を伝えられず残念。
相手打線に迫力
尽誠・古川智大主将 県大会でも最後まであきらめない野球をやってきた。みんなで頑張ろうと声を出し合った。守りが乱れ、自分たちの野球ができなかったのが悔しい。相手打線も迫力があった。
準備できていた
尽誠・岩崎彰陽投手(2回を無安打無失点)初回から準備はできていた。直球はもっとスピードが出せたはず。攻撃につなげるため、テンポだけを考えた。
指示通り打てた
尽誠・白川勇輔外野手(九回、代打で左前打)体が開かないよう指示を受け、その通りできた。バットの先だったけど、フルスイングしたのがよかった。
打線すぐに修正
智弁学園・小坂将商監督 対左腕という心配はしていなかった。序盤は甘い球を打ち損じていたが、すぐに修正できた。投手陣も力を出してくれた。
終盤に打線奮起
○…唯一の打点をたたき出したのは、県大会で打点のなかった9番赤穂だった。8点を追う七回、ここまで散発2安打の打線が初めてつながった。5番馳平、6番藤井の連打を足場に二死一、三塁。打席に立った赤穂は「まだ、あきらめていなかった」。直球で攻めてくるバッテリーに対し、「直球を待っていた。タイミングが取りにくかったが、食らいついた」と外角球を右へ流し、右翼線に落とした。二塁打。一走古川が快足を飛ばし、2点適時打となった。
これが終盤、打線の粘りにつながった。八回は途中出場の織部が左前打し、続く代打の岡本は「どんな球種でもストライクを狙った」と初球を右前打。九回には、先頭の7番木内が「次につなぐことだけを考えた」と痛烈な右前打で出塁し、ここから一死満塁と攻めた。
しかし、反撃は結局、七回の2点のみ。大差で敗れたことに、木内は「初回、自分のエラーなど、守りでリズムをつくれなかったことが敗因」と悔しさをにじませた。
関本3ラン2発
苦手な変化球をあえて狙っていた。「やられたんで、やり返してやろうと思って」。昨秋に右ひじの靱帯(じんたい)を断裂し、バットを振ると痛みは残る。それでも智弁学園の7番打者、関本の負けん気の強さが2本の3ランにつながった。
1打席目はスライダーで空振り三振。2打席目も変化球で崩され中飛に倒れた。研究されているのは明らか。だが、五回一死一、二塁で、2球目のスライダーを迷いなく振り抜くと打球は中堅左に吸い込まれた。八回にもカーブを左翼に打ち返し、勝利を決定づけた。試合前まで高校通算本塁打は2本。1試合で倍の数字にしてしまった3年生は「うれしいのひと言」。汗いっぱいの顔に笑みがあふれた。小坂監督も「力は持っている。4番を打ってもおかしくない」と称賛を惜しまなかった。
1年生の春には背番号をもらった。新入生の関本に期待をかけてくれた当時の上村監督は、その年の暮れに亡くなった。「恩師」と呼ぶ前監督には「強く振れ」と教わり、その言葉を実践してみせた。「一つ勝って報告します」。大会前、墓前で誓った。約束は守った。
赤穂7回意地の2点打 甲子園の怖さ痛感 下山監督
守り勝つ野球を掲げた尽誠が守りで崩れた。県大会5試合で3失策の守備陣が、わずか2時間半の間に4失策。うち三つが失点につながった。「県大会でできていたことができなかった」。就任1年目の下山監督は、甲子園の怖さを無念そうにかみ締めた。
一回、先頭打者を守りのミスで出し、送りバントで一死二塁。立ち上がりが課題のエース藤井にとって、崩れかねない場面だったが「全く気にならなかった」。相手の3、4番に対し、スライダーを低めに決め、最後はいずれも直球で空振り三振。二回は三者凡退に抑え、「いけるぞ」。これまで通り尻上がりに調子を上げるエースにナインは期待を膨らませた。
だが、好ムードは直後に消えた。三回。先頭打者を低めのスライダーで三振に仕留めたが、「ベースに当たって思い切りバウンドした」と捕手馳平。体で止められず振り逃げで出塁を許した。エースのリズムが乱れたのはここから。バントの構えを見せる次打者に対し「失敗を誘うため、際どくコースを突いた」(藤井)ことが裏目となった。四球で歩かせた後、ストライクが入らなくなり、押し出し四球などで2失点。
五回も同じような光景が繰り返された。県大会で無失策の遊撃杉山が「ミスはできない」と力んで一塁へ悪送球。先頭を出し、「抑えなければ」と気負った藤井が次打者に四球を与え、中軸の連打や3点本塁打であっという間の6失点。この回でマウンドを降りた藤井は「こんなに点を取られるなんて…。相手が上」と力不足を認めるしかなかった。
1点も与えたくない理由もあった。県大会で好調だった1番山下、4番高尾がマークされ、「先発(内之倉)は球がきていた。簡単に点は取れない」と馳平。攻撃面の焦りが守備の重圧になっていたようだ。
まさかの10点差。「自分たちの野球ができなかった」。ナインは同じ言葉を残し、夢舞台に別れを告げた。 |