高松市沖の男木島で28日、2013年の瀬戸内国際芸術祭がきっかけで島に移住した男女が結婚式を挙げた。島で暮らす住民が島内で挙式するのは約40年ぶりといい、安産と縁結びの神様をまつる「豊玉姫神社」で永遠の愛を誓った。雨にもかかわらず大勢の島民が出席し、2人の門出を祝福した。

 挙式したカップルは、橋本一将さん(30)=岡山県出身=と、美紀さん(25)=兵庫県出身=。

 橋本さんは13年の芸術祭で男木島に作品を展示するアーティストを手伝うために来島した。「島の人たちの温かさが印象的で。島独特の時間の流れ方やまち並みにも引かれた」。14年春に移住し、現在は漁師とイラストレーターの仕事をしている。男木小中学校で給食配膳員として勤務している美紀さんも、芸術祭を機に島の魅力に触れ、15年春に移り住んだ。

 島民によると、かつて島では自宅で結婚式を行うのが風習となっており、豊玉姫神社での挙式は初めてという。また、近年は、島出身者も島外の式場を使うケースがほとんどのため、島挙げての結婚式となった。

 雨が降る中、新郎新婦らは神社まで花嫁行列を行った。紋付き羽織袴と白無垢(むく)の2人が練り歩くと、見物客から「おめでとう」の声が飛び、島の女性たちは、嫁入りの際にうたわれていた「男木伊勢音頭」をうたって祝福ムードを盛り上げた。

 式を終えた橋本さんは「島民の皆さんに式を見ていただき、本当にうれしく思います。今後も見守ってください」とお礼を述べ、美紀さんも「今日はありがとうございます」とほほえんだ。島の人たちは「久しぶりの結婚式は、とても楽しかった」「雨は『幸せが降り込む』という。2人にとって縁起がいい」と喜んでいた。