重点テーマに「アジア」「食」「地域文化」を掲げた「瀬戸内国際芸術祭2016」が幕を下ろした。3回目の開催となり、ガイドブックを手にした外国からの若者が島の路地を歩き、普段はアートに関わることのない島民らが作家と制作に携わる姿は、今や普段の風景になった。島の日常はさらなる変ぼうを遂げるのだろうか。閉幕した6日、第1回から同芸術祭総合ディレクターを務める北川フラムさん(70)に今回の成果と今後の展望などを聞いた。

 ―108日間を振り返って。

 ボランティアサポーター「こえび隊」、地元大学生、地元企業、自治体OBらボランティアの皆さんの頑張りで走り抜けることができた。運営を手伝ってくれた全ての仲間に感謝したい。

 ―3回目の開催だった。来場者の傾向をどう見ている。

 アンケートなどを見ると、長期滞在者が増え、滞留時間が長くなっていることが分かった。リピーターが3割近くいたようで、成熟した瀬戸芸ファンが増えたと分析している。

 ―今回の瀬戸芸の特徴は。

 現地に滞在して制作した参加アーティストがこれまでより多く、地域に根差した作品が見られた。アジアの12の国と地域が参加した「APAMS」や小林武史さん、森山未来さんらによるパフォーマンス系のイベントも増えた。昨年から行った「食のフラム塾」では県内外から100人を超える生徒が学び、各会場でさまざまな郷土料理を提供した。参加アーティストや住民、来場者が交流する場面が増えたのが特徴だろう。

 ―約10年間、瀬戸芸に関わった。手応えはどうか。

 男木小中学校や保育所の再開、大島の社会交流会館の開館などは、瀬戸芸がまいた種が育った結果だろう。香港線など国際定期路線の就航もその一つ。おとといも台湾の対日交流窓口機関の関係者ら20人を案内したところだ。地域づくりのモデルにしようと、アジア諸国の瀬戸芸への関心はとても高い。瀬戸内がアジア、世界の希望となりつつあるのをひしひしと感じる。

 ―今後の展望は。

 次回の開催は決定していないが、世界の期待に応えるべく、直ちに準備に入る予定だ。期待が大きい分、しっかりと準備しなければならない。3年後だとすると、開催年は東京オリンピックの前年。空疎な芸術祭にならないように、地域の底力をもっと上げていく必要がある。そのためには、私も含め瀬戸芸に関わる人たちの勉強あるのみだ。