良質な石材の産地として知られる土庄町大部地区の女性たちが郷土料理「石切りずし」の伝承に取り組んでいる。石切りずしは、かつて石工に親しまれたという押しずしの一種で、重しに石を使うのが特徴。女性たちは保存会を立ち上げ、「瀬戸内国際芸術祭2016」の作品の近くで会期中に販売しており、島内外の人たちに地域の魅力を発信している。

 同地区では江戸時代、大坂城の築城のため石が切り出され、石工には日持ちがして腹持ちもいい押しずしが振る舞われたとされる。その後もハレの日に欠かせない味として受け継がれてきたが、家庭で作る機会は減っているという。

 地元の女性たちは2年前から公民館活動の一環で、かつて仕出し屋で石切りずしを作っていた女性に当時の作り方を教わってきた。今回の芸術祭で初めて同地区に作品が展示されることになったことから、来場者のおもてなしとして提供を決め、今年3月初めに「大部石きり寿司保存会」を結成。23人で活動している。春会期は日曜日などに5回販売し、毎回完売となる好評ぶりだった。

 販売日はメンバーが早朝から公民館に集まり調理。木枠に酢飯を詰め、エビ、アナゴ、サワラ(今の時期はタイ)の3種類の具材を並べた後、重しの石を置いていく。本来の製法は一昼夜寝かせてご飯を硬くするが、食べやすさなどを考慮し、重しを乗せるのは1時間程度にしているという。

 21日は芸術祭の海外作家と地区の住民の交流会でも振る舞った。保存会メンバーは「芸術祭の作品づくりでは男性を中心に汗を流したので、私たちは女性ならではの手作り料理で頑張りたい」と意気込んでいる。

 夏会期の販売は日曜(8月14日は休み)の午前10時半から37食限定。1食400円。台湾の美術家、林舜龍(リンシュンロン)さんが制作した屋外作品「国境を越えて・潮」の近くにテントを設ける。