瀬戸内海の島々を舞台にした現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2016」(同実行委主催)の夏会期が18日、開幕した。直島や豊島、小豆島など七つの島と高松、宇野港周辺に春会期以降に制作された新規の17作品を含む148作品がお目見え。香川県高松市のシンボルタワー周辺にはアジアの工芸や食を集めた「瀬戸内アジア村」がオープンするなど新規イベントも始動した。初日は3連休の最終日とあって、出発地の高松港周辺は終日、島に渡るアートファンらであふれた。

 梅雨が明け真夏日となったこの日、高松港に船が到着すると、ガイドブックを手にした家族連れらが汗を拭きながら足早に乗船。次々にお目当ての島に向かった。グループで訪れた学生らの姿も目立った。

 直島では、地中美術館や家プロジェクトの一つ「南寺」などの人気作品は開場すぐに1時間待ちの行列ができるほどの盛況ぶり。小豆島では各地で無料接待所が設けられ、住民が手作りの地元の味で来場者をもてなした。

 女木島西浦地区ではタイの作家ナウィン・ラワンチャイクンさんが島民の似顔絵を側面に施した新作「OKタワー」を発表。会場では、ナウィンさんが同地区の住民と写真を撮るなどして完成を祝う姿が見られた。ナウィンさんは「集落には14軒しかなく、人の行き来がほとんどない。作品を通じて多くの交流が生まれてほしい」と期待を寄せた。

 直島や豊島、男木島では参加アーティストによるワークショップなどが開かれた。豊島の唐櫃公堂では、フランス人アーティストのクリスチャン・ボルタンスキーさんがトークショーを実施。約400個の風鈴を使ったインスタレーションの新作「ささやきの森」について、「作品では風鈴の短冊に大切な人の名前を残すことができる。これからも名前が増えていくことを望んでいる」と約100人の聴衆に呼び掛けた。

 実行委事務局によると、開幕初日は高松港と豊島、高松港と女木、男木島を結ぶ航路で混雑したため、いずれの航路でも3便の臨時便を運航した。

 3年ぶり3回目となる今回の芸術祭は「アジア・食・地域文化の発信」を重点テーマに春、夏、秋の3会期に分け開催。2013年の前回開催では約107万人が訪れた。今回の春会期(3月20日~4月17日)には約25万4千人が来場した。夏会期は9月4日まで。