今回の瀬戸内国際芸術祭の重点テーマになっている「食」もアートファンの関心を集めた。会場の島々では瀬戸内の食材を使った個性あふれる料理が提供され、来場者は「食事を楽しみにしてきた」「地元の食文化に触れることができてうれしい」などと満面の笑みを見せた。

 島民らが地元の食材を生かして料理の腕を振るう土庄町豊島のレストラン「島キッチン」では、お昼時になると大勢の観光客でにぎわった。開幕初日はスズキやニンジン、ナバナなどをフリットや天ぷらにしたランチセットを提供。高橋えりかさん(27)=横浜市=は「味付けの方法を知りたくなった」と島の食に興味津々の様子だった。

 サワラやタイの瀬戸前寿司(ずし)、西洋風のすり身団子「クネル」などの6品が並んだのは「レストラン イアラ 女木島」。シェフを務める出張料理人のソウダルアさんは、「島民に受け継がれるような料理を提供していきたい」と意気込んだ。

 地元住民が中心となってお接待をする取り組みも各地であった。坂出市沙弥島の西ノ浜の家では、沙弥自治会のメンバーがトラフグの炊き込みご飯が入った弁当や、ワカメなどの地元産の食材を使ったメニューを出した。ワカメ入れ放題のうどんを食べていた村富栄一さん(55)=綾川町=は、「ワカメがシャキシャキしていておいしい」とにっこり。ナカンダ浜では市内の親子でつくる「坂出親子おてつ隊」が来場者を温かくもてなした。

 土庄町大部(おおべ)地区の住民有志は、昔から各家庭で食べられてきた地元の味でお接待。会期中の土日祝日を中心に、郷土料理の石切りずし(押しずし)や草餅などの販売を予定している。