現代アートの祭典「瀬戸内国際芸術祭2016」(同実行委主催)が20日、開幕した。「食」と「アジア」を重点テーマに、香川の7島に岡山市の犬島を加えた8島と高松港周辺などに計160作がお目見え。地域の風土や歴史を掘り下げ、その魅力を発信する作品がそろった。各島には初日から大勢の来場者が詰め掛け、アートに触れる島巡りを満喫した。

 3年ぶり3回目となる今回の瀬戸芸は、同日始まった春会期(4月17日まで)を皮切りに、春、夏、秋の3会期(11月6日まで)に分けて計108日間開催。参加作家は34の国と地域から集まった226組で、過去最大規模となった。作品は秋会期に香川の4島が加わり、計206作品となる。

 好天に恵まれたこの日、高松市サンポートの大型テント広場では参加作家らが出席して開会式を開催。坂出市沙弥島のナカンダ浜でもオープニングセレモニーと開会式があった。瀬戸芸市実行委会長の綾市長らが赤色のさらしとふんどし、法被姿で登場し、「瀬戸芸を成功させるぞ」などと気勢を上げた。

 高松港では大型テント広場周辺に開幕を告げる吹奏楽の演奏が響き渡り、開会式出席者や美術ファンらが続々とフェリーなどに乗って島々へと向かった。高松と女木、男木島を結ぶ雌雄島海運の船は、ほぼ満席の便が相次いだ。

 一部の島では、古い家屋などを利用した会場で参加作家が自身の作品について説明を行う姿が見られた。小豆島では台湾の王文志(ワンウェンチー)さんの作品「オリーブの夢」を鑑賞する家族連れやカップルが目立った。

 各島では公式イベントも相次いで行われた。直島では、人形浄瑠璃一座「直島女文楽」が春を祝う時代物を上演。会場の直島ホールは、芸術祭に合わせて建築家の三分一博志さんが設計した作品で、詰め掛けた約300人が伝統芸能と現代建築の共演を楽しんだ。

 開会式には演出家の宮本亜門さん(58)がプライベートで訪れるなど、文化界からの関心の高さをうかがわせた。宮本さんは「前回も前々回も訪れた。アートが島に溶けこみ、島民が少しずつ変化しているのを見るのが好き。芸術祭は時代の傾向やアートの可能性を感じられるのがいい」と話した。