瀬戸内国際芸術祭2016の開幕を前に、勇心酒造(香川県綾川町)は15日、三豊市詫間町の粟島沖の海中で熟成していた日本酒を海から引き揚げた。原料の米や水は全て県産品を使い、各製造工程でも県内の自然の恵みを活用した「オール香川」の酒に仕上がった。19日開催の同芸術祭レセプションで振る舞われる。

 海中では陸上よりも早く熟成が進み、まろやかな味わいになるとされている。科学的根拠は解明されていないが、温度変化が少ない上、強い光が当たらず、潮の流れによって常に振動がある点も要因と考えられている。フランスやイタリアのワインのほか、国内でも伊豆や沖縄で、焼酎などの製造時に行われているという。

 同社は昨年12月15日、粟島港から北東約1・5キロの水深約11メートルの海底に、自社製造の一升瓶計12本を沈めて固定した。12本は2013年のかがわ県産品コンクールで知事賞を受賞した純米吟醸2種や、山田錦とおいでまいをそれぞれ使用した純米酒。いずれも県内で栽培した米と綾川の伏流水を原料に用いている。

 この日は同社員らが潜水した。海底の水温は約10・5度。固定したケースの近くにはタコやエビ、魚が泳ぎ、頭上には春の空や粟島の風景が見えたという。酒瓶のケースを引き上げた社員は「香川の自然が一つに凝縮されたお酒になった」と話し、「外国や県外の人に香川を感じてもらえれば」と期待を寄せた。