「瀬戸内国際芸術祭2016」の会場となる香川県小豆島で、地元有志らが郷土作家の壺井栄や地場の食品産業に焦点を当てた企画「本からうまれる一皿~壺井栄と庚申(こうしん)の夜~」に取り組んでいる。栄の作品に登場する料理を参考に作成したレシピで食事を作り、芸術祭会期中に観光客らをもてなす計画で、メンバーは「小豆島の食を通じて、また来たいと思ってもらえれば」と準備を進めている。

 発案者は小豆島町のつくだ煮メーカーで商品開発に携わる岸本等さん(38)。芸術祭実行委が開いた「瀬戸内『食』のフラム塾」で構想を練ってきた。

 町立図書館で活動する読書会の協力で栄の全集を読み解き、栄がつづった料理や食材をピックアップ。しょうゆやそうめん、オリーブといった島の名産品も用いて現代風にアレンジしたレシピを考案した。

 大正時代の小豆島では、地域の人々が話をしながら夜通し過ごす庚申信仰が盛んだったのにちなみ、料理の提供は3月26日を皮切りに10月までの毎月最終土曜日の夜、同町坂手の「eiカフェ」で行う。メニューは毎月変わり、各回100~150食、料金は千円程度で検討している。

 28日には調理に協力する同町苗羽地区の女性約15人が集まり、初回の提供に向けて、メバルのレモン蒸しや天ぷらそうめんなどの作り方を確認した。岸本さんは「島のお母さんならではの味付けで、地元の人は懐かしく、県外の人には新鮮かもしれない。栄の作品から読み取れる風景を感じてほしい」と話している。