3月20日開幕の「瀬戸内国際芸術祭2016」に参加する竹腰耕平さん(24)=京都精華大大学院1年=が土庄町で出品作「小豆島の木」の制作に取り組んでいる。段々畑に残されたクヌギの切り株を作品の素材に選び、土を掘り出して地中に広がる根を露出させる作業に打ち込んでおり、竹腰さんは「私たちが忘れている世界に生命の跡がある。見えない地中に思いを巡らせ、好奇心や想像力をかき立てるような作品になれば」と意気込んでいる。

 作品は、同町大部地区の空き倉庫に展示する予定。天井からつり下げ、根を見上げる形で鑑賞してもらう計画という。過去2回の芸術祭では、同町の北部海岸線一帯に公式作品が設置されたことがなく、この地域の目玉の一つになりそうだ。

 竹腰さんは京都精華大3年だった13年の芸術祭で、高見島(多度津町)でプロジェクトを手掛けた同大教員らを手伝った。今回は、山口県宇部市で昨秋開かれた「第26回現代日本彫刻展(UBEビエンナーレ)」で大賞に輝いたことから、同展と芸術祭の連携事業の一環として参加が決まった。

 小豆島を回ってイメージに合う木を探した竹腰さんは、耕作放棄地となっていた土庄町屋形崎地区の段々畑の再生に取り組む住民グループと出合った。住民が整地作業で伐採した後のクヌギを使い、昨年12月中旬から制作に着手。イノシシに邪魔されないように網を張り、根を傷つけないようスコップで少しずつ掘り始めた。

 遺跡の発掘のように地道な作業を続け、地中にびっしりと張り巡らされ、長いもので10メートル以上ある根が姿を現すように。今月に入ってからは芸術祭ボランティアサポーター「こえび隊」の力も借りて追い込みを掛けている。高見島から親交のある男性が激励に訪れて一緒に掘る場面もあり、竹腰さんは「多くの人に協力してもらえてありがたい」と話している。