三豊市は、アーティストの日比野克彦さんが瀬戸内国際芸術祭を機に展開する「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」について、日比野さん自身が監修した紹介用冊子を作成し、市内の全小中学生に配布した。冊子は海底に沈む遺物を通じて、“見えない近くの世界”に想像力を膨らませることの面白さを伝える内容で、児童生徒約5300人に夏休みの自由学習などで活用してもらう。

 来年の瀬戸芸は、日比野さんをメーンアーティストに粟島(同市詫間町)でも開催される。市は「一流の芸術家と触れ合える絶好の機会」として、市全域で同プロジェクトへの関心を高めてもらおうと冊子の作成を企画した。

 A5判カラー、24ページ。まず冒頭で、はるかかなたにある月や星に対する人類の興味は尽きないが、たった水深10メートルしかない海底は、目に見えないため遠い存在に感じられていると紹介。このほか、海底探査と展示用の船「一昨日(おととい)丸」を作り上げた経緯や探査結果、引き揚げた海底の遺物をめぐって市民らが創作した物語などをまとめている。

 冊子の完成を受け詫間小(同市詫間町)で、日比野さんを講師に迎えたワークショップをこのほど開催。2年生約60人は「匂いや手触り、形の特徴をしっかりチェックして物語を考えよう」とアドバイスを受けながら、ガラス瓶や貝、切り株などの漂流物をスケッチした後、それぞれにまつわるエピソードに思いを巡らせた。

 模様入りの石を見て「これはきっと、雷さまの小さな太鼓だろう」と考えた田坪花菜さん(8)は「石の絵を描いてると、お話が浮かんできて楽しかった」と笑顔。日比野さんは「正解や答えのない世界。子どもたちの新たな可能性を引き出せれば」と話していた。