アーティストの日比野克彦さんが、三豊市粟島北の海底で大量のれんがを見つけ現在、考古学の専門家と共同で調査している。れんがは運搬船が何らかのアクシデントで沈没した遺物とみられるが、詳細な年代や利用目的などは不明。日比野さんは長く海底で眠っていた遺物をアートと考古学の両面からアプローチして発想し、次の瀬戸内国際芸術祭の作品につながることを期待している。

 調査は、日比野さんが2010年から取り組む「瀬戸内海底探査船美術館プロジェクト」の一環。これまでに豊島(土庄町)周辺や粟島(三豊市詫間町)沖などでも潜水による探索を行っている。

 れんが船の沈没跡は昨年6月、粟島の中心から北約4キロの海底で発見。今年7月下旬には日比野さんや水中考古学研究所の吉崎伸理事長らが潜水調査を行い、水深約17メートルの海底にあった大量のれんがのうち、20個ほどを引き揚げた。

 吉崎理事長によると、引き揚げたれんが(縦10センチ・横22センチ・高さ5センチ)は、ピアノ線で切った痕跡があることやサイズなどから、製造年代は明治~大正期と特定。大半に「×」マークが記されており、今後、製造元の特定につながる可能性がある。明治期は西洋式の倉庫や軍用施設などの建設に最新資材としてれんがが利用されていたという。

 日比野さんは「見つかったれんがは当初の目的を遂げられなかったが、何十年かぶりに海中から出てきたことで、今度は発想の素材として光を当てたい」と話している。